もうひとこと:2018年5月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 ディー・エヌ・エー
ディー・エヌ・エーの人事プロジェクト「フルスイング」は、文字通り、社員の「フルスイング」を応援する取り組み。「フルスイング」、「シェイクハンズ制度」、「クロスジョブ制度」といったわくわく感を与える名称も同社らしいが、制度の内容にも、同社らしさが表れている。例えば、シェイクハンズ制度では、異動したい人は、異動したい事業部の事業部長に自分で直接アポイントを取って話をしに行き、「ここで働きたい!」と訴える。360度フィードバックを記名式で行うのも、他社でやるといろいろ弊害が起こりそうだが、名前を名乗って発言するのが同社には似合っている。自社の風土、自社の社員に“刺さる”仕組みにすることが大切と感じた。

もうひとこと:2018年4月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 ライオン
現在の歯ブラシの形を日本に広めたライオン。ペースト状でチューブ入りのハミガキを発売したのも、同社が日本初だという。ほかにも、石けん、洗剤、ヘアケア・スキンケア、薬品など、同社の製品は、便利、清潔、快適といった人々の生活の質の向上に結び付くものであり、今まで世の中になかったものがいくつもある。そうした新しいものを生み出すチャレンジを人事制度の面から支えてきたのが、今回取り上げた「LION Challenge Cup-Innovation」。前身となる制度は1966年の導入だというから驚きだ。しかも、その制度をただ続けるのではなく、改善しながら運用している。行動・プロセスをたたえる「L-Compass Award」も開始するなど、社員の意欲を引き出す努力を惜しまない姿勢を強く感じた。

もうひとこと:2018年3月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 スマイルズ
「やりたいことができる環境をつくり、人を集めるのではなく、人が自然に集まる会社をつくる。その結果、世の中の体温を上げるビジネスの“作品”を生み出していく」「社員を束縛するのではなく、兼業・副業をしても当社で働きたいと思えるよう、自社の仕事の魅力を高めていくべき」「他社を差し置いて一番になりたいという考えはない。人を取り合うのではなく、魅力的な方をシェアできればよい」「制度をつくったから新しいものが生まれるのではなく、やりたいことに挑戦するのを歓迎する機運や、主体的なチャレンジを容認し後押しする価値観が重要」……今回のスマイルズの取材では、気づきにつながる素敵な言葉をいくつもいただくことができた。

もうひとこと:2018年2月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 シーエーセールススタッフ
「気分で出勤」制度----なんとも素敵な制度名だ。「風がふいたら遅刻して 雨がふったらお休みで〜」という『南の島のハメハメハ大王』の歌詞を思い出す。そこまで“気分次第”ではないにしても、週2日の休日とは別に、出社してもしなくても出勤扱いとする日を設けるというのは、面白いアイデアだ。「やらなければならない仕事があっても、休んでしまう人がいないか」と少し不安になるが、社員の側からすると、“信頼されている感”があるので、「自分の責任を全うしたうえで、休めたら休もう」という気持ちになるのだろう。試行錯誤を重ね、トライアルを繰り返して、自社に適した制度をつくりあげた点も参考になる。

もうひとこと:2018年1月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 サトーホールディングス
他社に先駆けて65歳定年を実現したサトーホールディングスは、65歳以降も、雇用年齢の上限を定めずに再雇用する仕組みを設けており、「高年齢者に優しい会社」といえる。年齢を理由に解雇・雇止めされることがないのは、社員にとってありがたいことだ。しかし、お話を伺うと、これらの制度は、ただ社員に長くいてもらうためのものではないことが分かる。51歳以降を定年退職扱いとし、再雇用の上限年齢も定めないことで、「いつまでこの会社で働くか」「そのために、どう組織に貢献するか」を主体的に考えることが求められる。兼業・副業制度も検討する同社の姿勢は、社員の自立・自律を促す厳しさもあり、これからの雇用の在り方として参考になる。

もうひとこと:2017年12月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 日本航空
本シリーズを2ヵ月ほどお休みさせていただいた。バカンスを取っていたわけではなく、心身ともにリフレッシュできていないものの、久しぶりに本誌の取材で企業を訪れると、新鮮な気持ちになる(久しぶりのせいか、カメラを忘れ、ご迷惑をおかけしてしまいましたが……)。日本航空の「ワーケーション」は、年休取得を促進するための施策だが、何か新しい仕組みを入れたということではなく、導入済みのテレワークでできることを、「こんな使い方もありますよ」と社員に提示したものだ。しかし、これによって気づきを得て、予定していた旅行をキャンセルせずに済んだ社員もおり、年休の取得促進に貢献している。アピールの仕方の重要性を感じた。

もうひとこと:2017年9月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 ソフトバンク
今回取り上げたソフトバンクの2つの施策は、いずれも、「自分の知識を共有したい」「だれかに教えたい」と社員が自ら手を挙げ、ボランティアで活動しているものだ。「仕事が忙しいなか、そんな人がどれだけいるだろうか」と思われるかもしれないが、どこの会社にも貢献意識の高い人はいるはずだし、やってみると、教えることによって気づくことがあったり、組織を超えたネットワークができるなど、得られるものも多い。そのためには、手を挙げることのできる場を用意してあげること、そして、遠慮したり躊躇している人に対して、「やってみませんか」と背中を押してあげることが大切だ。読者の皆さんの会社でも、取り組んでみてはいかがだろうか。

もうひとこと:2017年8月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 ポーラ
「雇用関係によらない働き方」が、企業・働き手の双方に注目されている。働く側からすると、やりたい仕事ができる、時間や場所を選ばない、起業家として成功する夢が持てるといったメリットがあり、企業にとっても、単純な人材確保の手法にとどまらず、オープンイノベーションの観点からも必要性が指摘されている。とはいえ、そのような働き方には、収入が途絶・減少するリスクもあるし、自ら能力・スキルを継続的に高めていくのも容易ではない。その点、ポーラのビューティーディレクターは、個人事業主でありながら、スタート時の収入や教育の面で手厚いサポートある。もちろん、必ず成功するとは限らないが、魅力ある働き方の1つといえよう。

もうひとこと:2017年7月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 サッポロホールディングス
サッポロビールは、人財開発グループのビジョンとして、「自燃型で成果を出せる人財」の早期育成で「人財力ナンバーワン企業」となることを掲げている。「自燃型」というのは、情熱という心の火を、周りの人から付けてもらうのではなく、自らつけて燃えるチャレンジングなマインドを持った人のこと。(1)自燃型(自ら火をつけて燃えている)、(2)可燃型(人がそばに来て火をつけてくれると燃える)、(3)不燃型(自ら燃えないし、人がマッチを擦っても燃えない)、(4)消火型(せっかくついた火を消して回る)のうち、(3)や(4)はもちろん、(2)を減らし、(1)を増やしたいものだ。読者の皆さんの会社には、(1)〜(4)の社員がどのような割合でいるだろうか。

もうひとこと:2017年6月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 リンガーハット
今回取材をするなかで、「全員を同じに考えないほうがいい」「いろいろなルートがあってよいと思う」「何でも全員に求めるべきではない」など、個々人の希望や事情に配慮する発言がたびたびあった。杉本氏も指摘しているように、人事としては、統一的な運用をしたほうがやりやすい。しかし、こうした多様性を認めるスタンスで設計・運用していることが、働く1人ひとりの意欲に結びついているのだろう。また、社員がアルバイトを紹介した際に、(紹介者ではなく)入社した人にボーナスを支給する制度を設けたというお話も興味深かった。パート店長制度もそうだが、自社に合ったよりよい仕組みを工夫し、改善していこうとする姿勢を強く感じた。

もうひとこと:2017年5月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 ディアーズ・ブレイン
ディアーズ・ブレインの「弾丸トラベラー研修制度」は、抽選で選ばれた社員の海外渡航費用を会社が負担するもので、行き先も目的も自由。何でも好きなことに挑戦できる、なんともうらやましい“研修”だ。「こんな研修があったらいいよね」という社員の思いを人事が吸い上げ、制度化したものだという。社員がこんな制度を提案したら怒られる会社も多いだろうし、そもそも社員は、こんな制度を導入してもらえるとは思わないだろう。こうした声が人事に届くのは、社員が何でも言いやすい雰囲気と関係性を人事担当者が築いているからだ。そして、社員の思いを受け止めて制度化した人事も素敵だし、人事の提案に喜んでOKを出した経営トップも素敵だ。

もうひとこと:2017年4月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 東京急行鉄道
自社の社員について「保守的な面がある」という東急電鉄だが、220社8法人でグループを構成し、多彩な事業を展開する同社に、「保守的」なイメージはない。近年も、渋谷駅周辺開発プロジェクト、仙台空港運営事業、電力小売り事業など、注目度の高い取り組みを進めている。しかし、基幹事業の性格もあって、「全員が野心あふれる起業家人材というわけではない」というのは、その通りかもしれない。そうした、全員が起業家人材ではない大多数の企業にとって、新規事業を生み出す仕組みを形骸化させないことは、簡単ではないだろう。だからこそ同社は、単なる新規事業の「提案」制度ではなく、社内起業家の「育成」制度としたのではないだろうか。

もうひとこと:2017年3月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 アフラック
今回の取材で特に印象に残ったのは、「人事異動は会社にとって投資」という言葉。どんな仕事も、慣れた人がやるほうが効率がいい。定期異動を行って人を動かすと、多くの部署で引き継ぎの手間や混乱が生じ、戦力ダウンになる。しかし、当初はパフォーマンスが低下しても、1年も経つ頃には皆が成長し、それを繰り返すことで組織力が上がっていく。もう1つ印象的だったのが、一時転勤経験者の活躍を紹介した社員向け資料を見た人事の方々が、「〇〇さん? ああ、彼女も活躍していますよね。○○のツールを作ったり、○○もして……」と、その後の活躍をよくご存じだったこと。社員1人ひとりに目を向け、見守っている様子が感じられた。

もうひとこと:2017年2月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 ネットプロテクションズ
今回取材に応じていただいた草間氏は、マーケティング部門の1メンバーだった当時、新卒採用ワーキンググループへの参画を打診された。この制度が導入された初年度のことだ。できたばかりの制度なので、引き受けた場合にどの程度負荷が増えるかも、周囲の協力を十分に得られるかも分からない。自分の担当業務を行いながら、全社的なプロジェクトに取り組むのだから、不安もあったのではないだろうか。そう思いながら、「お願いされてどう感じましたか?」とうかがうと、「私は、お願いされると、『いいですよ』と言ってすぐやるんです」と笑顔で答えてくださった。始めにこういう方にプロジェクトを任せたことも、制度が定着した要因の1つだろう。

もうひとこと:2017年1月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 アイエスエイプラン
「チャンドラーは『組織は戦略に従う』と言いましたが、そうではなく、組織をつくるところから会社を作っていきたいと考えています。戦略ややりたいことがあってそこに人が集まる形より、『この人と働きたい』というところから新しいものが生まれてくる組織のあり方が理想です。そのために組織をもっとよくしていきたいし、その輪が広がっていけばいいですね」――こう語る糸川社長は、組織づくりに対する手間を惜しまない。特に印象的だったのが、「ぼくたちはフォロワーのためにいる」という信念を持ち、社員と共に成長していこうとする、謙虚でありながら情熱的な姿勢。同社が目指す「進んで従う部下がいるリーダー」のお手本といえるだろう。

もうひとこと:2016年12月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 ローソン
取材の際に、「他社へのアドバイスをいただけますか?」とお願いすると、お答えいただける場合といただけない場合がある。企業ごとに置かれた環境も考え方も異なるのだから、むしろ、お答えいただけなくて当然かもしれない。とはいえ、直接的なアドバイスはいただけなくても、その会社がどのような状況の下、どういう考えでどういう制度を設けたのか、その結果、どういう変化があったのかという具体的事例は、他社にとって大いに参考になる。なかでも、「やってみたがうまくいかなかった」という失敗事例からは、学ぶ点が多い。社員のチャレンジを促すとともに、失敗すら褒め、共有する風土を目指すローソン。今後、どう進化していくか楽しみだ。

もうひとこと:2016年11月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 カルビー
過去に別件でお会いした方を含め、私がお世話になったカルビーの皆さんは、皆、明るく優しく前向きな方ばかりだ。たまたま運がよかったというわけではなく、社風というものがあるのだろう。外から見るとそんな素敵な同社だが、人事部門の自己評価は厳しい。受け身の体質があると捉え、それを改善するために、今回取り上げた「キャリアチャレンジ制度」を導入している。同社は、このほかにも、本社をフリーアドレス制にしたり、女性活躍推進に積極的に取り組んだりと、あの手この手で組織風土改革を進めている。こうした施策の効果により、同社がどう進化していくのか、今後も目が離せない。

もうひとこと:2016年10月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 トラスコ中山
一般に、多面評価(360度評価)に対しては、「評価の目線が身に付いていない社員がかかわるので、評価結果の妥当性を担保できない」「人間関係の悪化や社員同士のなれ合いを生む」「実施するのに手間がかかる」など、否定的な意見が少なくない。実施する場合も、処遇には影響させず、管理職研修などの中で、本人の気づきを促すためだけに行う企業が多い。しかし、トラスコ中山の取り組みを見ていると、「どうしてこんなに有益な制度を導入する企業が少ないのだろう?」と感じてしまう。もちろんうまくいくのには秘訣があり、経営トップの意思、長年培ってきた組織文化、評価者を教育し続けるたゆまぬ努力があってこそ、この制度が機能している。

もうひとこと:2016年9月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 クックパッド
クックパッドの本社を訪れると、まず目に入るのが、受付エントランスからガラス越しに広がる開放的なキッチン&ラウンジ。会社が新鮮な食材を常備しており、社員はいつでも自由に料理をすることができる。試作やランチ作りが行われるほか、イベントや食事会も頻繁に開催され、コミュニケーションの活性化に役立っている。以前の本社にもキッチンを設けていたが、2014年に現在のオフィスに移転した際、ラウンジとの一体感を高めるなど、「人が集まるキッチン」としての機能を強化した。本文で触れた自主勉強会も、ここで開催されることが多い。キッチンの明るい雰囲気は、勉強にもコミュニケーションにもうってつけ。環境づくりの大切さを感じた。

もうひとこと:2016年8月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 キープウィル・ダイニング
キープウィル・ダイニングの本社にうかがうには、本社ビル1階にあるカフェ、「CAFE KATSUO」の店内を通り抜ける必要がある。居心地の良さそうなお店で、スタッフの皆さんの「こんにちは!」という明るい声が心地よい。同店は、今回紹介した「キープウィル・アワード」の発表において、自社の理念を「ハートフル・ホスピタリティー」という1つの言葉で体現しているとプレゼンしたそうだ。皆さんの笑顔は、まさにハートフル。取材後、写真撮影を忘れたことに気づいて慌てて引き返したときも、ハートフルな温かい笑顔で迎え入れていただいた。

もうひとこと:2016年7月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 ベイクルーズ
取材に訪れた渋谷区の本社は活気にあふれ、ミーティングなどで活発に議論する声があちらこちらから聞こえた。「これからの時代は、多様性がますます重要視されます。どんな働き方、どんな価値観の人であっても、会社の中で役割を果たせる環境を作る必要があります。そのために、この新ビジネス提案制度だけでなく、さまざまな仕組みを作っていきたい。個の強みを生かして伸ばしていくこと、個のキャリアを実現していくことに力を入れていきます」と語る櫛谷氏。多様な人材にチャンスを与え、個人のチャレンジを応援していこうとする姿勢が、従業員のやる気を高め、1人ひとりが輝ける組織を築いている。

もうひとこと:2016年6月号「チャレンジ制度運用シリーズ」取材後記 エストコーポレーション
「お茶出し、1回につき100円」――エストコーポレーションでは、社員が来客にお茶出しをすると、100円分の報酬が支給される。1回の来客対応に要する時間や労力は、それほど大きなものではない。しかし、そのために自分の仕事を中断しなければならないことを考えると、ちょっとしたことだからと馬鹿にできない。皆が平等に担当するのであればよいが、こういうことは、えてして特定の人に集中するもの。そこで、森脇氏が関係者を説得し、「お茶出しスタンプカード」を作ってこの制度を立ち上げたそうだ。社員にとって、金額の多い、少ないは関係ないだろう。「自分の頑張りを認めてくれている。見ていてくれる」と思えることが、やる気を促すのだ。