もうひとこと:2017年7月号「実録 人事制度」取材後記
コーヒー党か? それともお茶党か? と問われたら、記者は自信を持って「お茶党」といえる。朝の一杯は大抵、緑茶だし、ウーロン茶も毎日欠かさず飲んでいる。というか、水分補給の9割以上はお茶だ。そんな観点からも今回、お茶のパッケージメーカーである吉村の取材は、個人的にも興味があった。もっとも記者の周りの人を見渡せば、若い世代を中心にコーヒー党が目立つ。お茶離れという言葉も耳にする。主にお茶を愛飲する高齢者の世代交代が進むことでお茶の消費需要はこの先どうなるのか、という不安もある。今回、スポットを当てた同社の「ブランドオーナー制」の取り組みは、若者にも親しまれる可愛いパッケージの開発などを通して、幅広い世代に向けてお茶と親しむ機会を創造している。取材を始める前、橋本社長自らが緑茶を煎れてくれた。待つこと数分の「おもてなし」。ふと、3年後の東京五輪は、空前のお茶ブームの予感とともに、ヨシムラは世界に知られるお茶のブランドになるのかな……そんな予感も。


もうひとこと:2017年7月号「ギョーカイ人事図鑑」取材後記
合掌苑の取材中、どこからともなく大勢の人たちの笑い声が聞こえてきた。わっはっはっはっは〜。それが一度や二度ではなく、何度も繰り返されるので、音の方向に視線を投げかけると、森理事長が「笑いヨガです」と種明かしをしてくれた。「車椅子のお年寄りに運動してもらうには、最高にいいのです。ちょっと観にいかれますか?」。記者は福祉関係の施設を訪問する機会も少なくないが、笑いヨガというのはそのときに初めて知った(後でネットでも調べたら笑いヨガ協会という団体もあり、笑いヨガのリーダー養成講座があることを知る)。会場のフロアには20人ほどの車椅子のお年寄りが、合掌苑の職員の合図で「わっはっはっはっは〜」。ほとんどは認知症のお年寄りだが、その笑顔からは豊かな感情が伝わり、普段、見たことのない記者の登場にも、いい笑顔で応えてくれる。記者も一緒になって、わっはっはっはっは〜。「そういえば最近、あまり笑う機会もなかったなぁ」と思い出しつつ、運動として笑う。それだけでもなんだか愉快な気分になれる。記者もリーダー養成講座、受けようかな……そんな気分♪

もうひとこと:2017年6月号「実録 人事制度」取材後記
社員同士で賞与額を決めるフォルシアの「3C評価制度」があることによる記者の個人的な魅力をあえて挙げるなら、やはり「他部署の人たちとの壁が低くなる」ことではないか、と思う。毎日のようにオフィスで顔を合わせるような立場同士であっても、他部門の人のことはあまり知らない(あえて知る必要もない?)という関係は、意外と少なくないと思われる。記者も近くのスポーツセンターに通ってもう7、8年になるが、7、8年も顔を合わせているのに、同じ会員のことはほとんど知らない。要は「知るためのきっかけも、必然性もそこにはない」からというのもあるし、一度、挨拶してしまうと、今度は毎回挨拶しなければならなくなるので、それは面倒くさい、というのもある。たまにお節介な会員がいて、間に入って他の会員と話すきっかけをつくってくれる人もいる。「3C制度」にはそんなお節介焼きのような橋渡しの役割もあるのだな、と感じたりもした。

もうひとこと:2017年6月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
今回のゾーホージャパンのダイバーシティの取り組みでは、比重的にはスーパーフレックスとテレワークという「働き方の多様性」という部分に大きくスポットを当てた。その導入効果については本文をご一読願いたいが、一方で現場の社員からの反響という側面から見た場合、「人の多様性」、特に同社においては障がい者雇用の取り組みにおけるポジティブな社内意見が比較的目立っているという現状にも、個人的には興味を覚えた。多様性のある職場づくりにおける受け止め方は人それぞれだとは思うが、その渦中において「自分自身のプラスの変化」を自覚しやすいものの一つが、「障がいを持つ人と一緒に働く」ことなのかもしれない。先般、厚労省は法定雇用率の引き上げの方針を示したが、もともと雇用義務の対象ではない同社が、あえて障がい者雇用を推進したことの意義とは何か。その答えの一つも、社内からのポジティブな反応にあるような気もしている。

もうひとこと:2017年5月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
本リポートで取り上げた日建総研の取り組みの中で、在宅勤務や有給休暇の促進における高い成果として、とても印象に残ったのが上層部からの「申請スケジュールのメール告知」、いわば取得を促す勧奨である。在宅勤務にしろ、有給休暇にしろ、取得促進のための制度の導入自体は昨今、珍しい事例ではない。取材をする側から見た興味関心は、むしろ「導入後の取得に向けた働きかけ」の中身である。「取れるときに取ろう」というスタンスではなかなか実現しない。毎月のメール告知自体は地道な作業ではある。ただ、継続は力ではないが、「継続が社内風土をつくる」といったような縁の下の力を、同社の取材では感じた。

もうひとこと:2017年4月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
在宅勤務や派遣先での就労など、働く場所の多様化は時として孤独、疎外感の温床にもなりうる。さらにフレックスタイムや時短勤務などの働き方の多様化は、社員間のコミュニケーションの観点からも、今後、会社組織としてのさまざまな施策が生まれてくるのではないか、と予感させる。今回のヒューマングローバルコミュニケーションズの社内ランチルームなどは、その意味でとても参考になる取り組みであるように思う。お昼に就労先から自社に戻り、仲間と一緒にランチを食べる。わざわざ電車賃をかけてまで……と思われる人もいるだろうが、フリーランスのわが身としては、ちょっぴり参加する人たちの気持ちが分かるような気もした。

もうひとこと:2017年4月号「実録 人事制度」取材後記
「山ごもり」というネーミングには、ちょっぴり郷愁感もあるが、同時に今の時代にあっては不思議な新鮮さも感じさせる。そんなネーミングのロックオンの休暇制度の魅力と意義については記事のほうで堪能していただければと思うが、なぜ、「山ごもり」に新鮮さを感じるのか?については、やはり近年のスマホ、ケータイなどの普及による過剰なつながりへの個人的な疲れもあるのかな、という気もしている。コミュニケーション促進を目的とした人事制度は数多いし、その必要性も感じている。ただ、あえて「つながらない」時間を持つことによるリフレッシュ効果というものも、個人の生産性の観点から有益ではないかとも思うが、それは単に記者の歳のせい?

もうひとこと:2017年2月号「実録 人事制度」取材後記
今回のプレスクの「E−Vacation制度」導入事例の大きなポイントの1つは、その運用の現場が「社外」である点にある。郷に入っては郷に従えの諺ではないが、同じ有給休暇の消化にしても、社内勤務のケースに比べて、顧客企業への常駐勤務という働き方をしている同社の社員のケースは、ある意味で難易度も高い。「それができる」ということの意味とは何か。その会社の理念に根付いた人事制度ゆえの説得力、そして実行力。そんな視点からもぜひ、一読願いたいリポートである。

もうひとこと:2017年2月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
障がいを持つ社員の約半数が在宅勤務で働くジョブサポートパワー。リポートの中でも触れたが、同社では「雇用が難しい」とされる視覚障がい者も多く活躍している。そもそも同社の「働く場所を選ばない」雇用形態のスタートは今から約5年前、1人の視覚障がいを持つ男性との出会いに始まっている。当初は各事業所への巡回マッサージなどに限定されていたが、スタッフは外周りで不在のケースが多く、その場合、視覚障がい者の社員はその場で待機しなければならない。「これでは本人の自己肯定感、仕事のやりがいにつながらない」。代表の小川慶幸氏のそんな思いあり、在宅雇用による「障がい種別によって判断しない職内容」が次々と生まれていった。障がい者雇用の舞台裏はドラマがいっぱいだ。

もうひとこと:2017年2月号「ギョーカイ人事図鑑」取材後記
リーガルというと、アイビーファッションとして一世を風靡した「VANリーガル」を思い出すシニア世代などの人も少なくないと思われる。そんなおしゃれな高級靴の印象が強いリーガルシューズなどで働く店舗スタッフの「人材育成」にスポットを当てた本リポートでは、「内製化」による「おもてなし」の心の教育に重点を置いた接客教育が大きなポイントであった。靴の製造販売メーカーというと、「職人の技術」や「ブランド力」にばかり関心が向かいがちだが、それに過度に依存しないリーガルの「おもてなし」の接客スタイルは、来店者評価の上位ランクの健闘ぶりからもうかがえるように、いまやそれ自体が一つの「ブランド」化しつつあるような印象も受けた。「アイビーファッション」と「おもてなし」。そこから生まれる化学反応は? そんな想像も膨らんだリーガルコーポレーションの取材ではあった。

もうひとこと:2017年1月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
今回、風土改革コンサルタントである手塚利男氏にインタビューをお願いしたタイミングで、世間では電通の過労自殺がクローズアップされた。「企業の不祥事を起こす人たちは、私から見れば優秀な人たちばかりなのです。しかし、組織にとってどんなに優秀に見えるリーダーであっても、同調圧力に屈してしまうタイプでは、そういう不祥事の前では良きリーダーにはなりえません」。果たして過労自殺をした社員にとっての上司とは、どういう存在だったのか? 手塚氏の言葉を聞きながら、ふと、そんなことも脳裏によぎった。

もうひとこと:2017年1月号「ギョーカイ人事図鑑」取材後記
今回のIDOMへの取材で一番驚かされたのは、新卒社員の中に占める女性社員の比率が約3割もあったことだ。車業界といえばやはり男社会のイメージ。「新卒で入社した女性の皆さんは、車に興味があって?」と聞くと、広報の女性に「いえいえ、そこまでは」と笑われてしまった。女性比率の大幅な上昇は、車への興味や関心以上に、会社の社風づくり、同社の働きやすい職場づくりへの取り組みの成果に負うところが大ということなのであろう。業界や職種による男女格差も、人事制度などの取り組み次第で解消できる――同社の事例はそのお手本としても一読してもらいたいと思う。

もうひとこと:2017年1月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
今回の日本レーザーもそうだが、職場のダイバーシティの成功モデルとされる企業の事例の多くは、「結果としてダイバーシティになった」というケースである。同社の近藤宣之社長の発した「うちのダイバーシティ経営は帰納法なのです」という言葉は、まさにそれを的確に表現しているものだと思った。記事の中でも触れたが、同社には「株主社員制度」がある。パート社員や派遣社員が正社員になり、同時に株主にもなるケースはとても多いという。「自分が働いている会社の株主にもなりたい」。それは会社や職場への愛着、満足度が高い職場でなければ成立しえない制度でもあろう。

もうひとこと:2016年12月号「実録 人事制度」取材後記
同じタイトルの人事制度であっても、運用次第で自社ならではの独自性のある仕組みに育て上げられる。今回のクックパッドの取材では、それをとても実感させられた。自社のカルチャーにこだわりを持ち、それを大事にする会社であれば、タイトルはどうであれ、そのカルチャーの数だけ、運用の仕組みも違ってくる。当たり前のことなのかもしれないが、頭で納得するのとはちょっと違う、そんな腹落ち感のある取材でもあった。

もうひとこと:2016年11月号「実録 人事制度」取材後記
今回のウエディングパークの「せどつく」もそうだが、人事制度の浸透、継続においてはそのネーミングも結構、重要だ。同社の日紫喜社長もネーミングにはかなりこだわるタイプであり、正式導入までの過程ではネーミング案についてだけでも、何度も議論を重ねるという。話題の人事制度の場合、他社も真似て、あるいは自社流にアレンジして導入するケースも少なくないが、ネーミングが自社の社風に合うというだけで、何となく社員の愛着、受け止め方も違ってくるような気もする。ウエディングパークの人事制度の場合、社員発案のオリジナル性に富んだものばかりだか、「はちかつ」といい、「カレファミ」といい、そのネーミングにも遊び心、親近感があり、思わず頬が緩むのも魅力だ。

もうひとこと:2016年11月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
今回のダイバーシティ最前線では、キャリア・マムにおける「男性も活躍する職場」への取り組みにも若干触れた。企業のダイバーシティの取り組みといえば「女性が活躍する職場」がその代表例であろうが、女性社員が大半であった同社の場合はその逆のパターンともいえる。ダイバーシティな職場の事例も、今後は、大多数が外国人の中の日本人社員、あるいは障がいのある人たちが大半の職場に健常者が入り、活躍する・・・といった従来型とはまた違った観点からの取り組み事例も増えていくような予感も・・・。その意味でも今回のキャリア・マムのケースは、企業のダイバーシティにおける新たなステージを予測する観点からも一読していただければと思う。

もうひとこと:2016年8月号「実録 人事制度」取材後記
今回のビースタイルの「役割評価制度」は、同社の正社員を対象にした人事制度であるが、実は、同社のパートタイマー勤務の主婦人材においては、約5年前から役割に応じたキャリアパスプランが運用されている。その運用実績も今回の新制度の導入にあたっての大きな支援材料、そして自信にもなっていると思われる。そもそも人は誰しも、強みがあれば弱みもある。そのバランスで仕事や会社の評価も決まってくる、と思うが、この新制度が浸透することにより、社内の人間関係において「お互いがその人の強みを評価し、認め合う文化」が醸成されてくることの期待は大きいと思われる。組織としてのボトムアップ効果は、「弱みを底上げ」するのと比べてどうなのか? その比較の観点からも今回のビースタイルの新制度の行方には注目していきたい。

もうひとこと:2016年8月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
出社した社員は全員、経営者やすでに出社している1人ひとりの社員のデスクに出向いて言葉を交わすのが、古田土経営の朝の挨拶(本リポート参照)。それと似た光景を、かつて他の取材でも経験したことがある。本誌の取材で雀鬼こと桜井章一氏の雀荘を訪問したときだ。夜間、雀鬼会のメンバーが1人、2人と現れるが、そのたびに桜井氏、そしてすでに卓を囲んでいるメンバーのもとに向かい、1人ひとりに挨拶して回る。挨拶があふれる雀荘というのも珍しいが、とても健康的な印象が残ったのを覚えている。古田土経営の古田土所長は著書で「挨拶を徹底するコツは心を自分に置くのではなく、相手に置くことです。挨拶は相手に元気になってもらうため、相手に喜んでもらうためと定義しています」と書いている。「相手に元気になってもらうため」。なるほど、そう置き換えれば、挨拶に照れくささや余計な遠慮などは感じなくて済む。

もうひとこと:2016年7月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの養成講座を受講したことのある人事関係者なら、桐村晋次さんの講義を受けた経験者もいるかもしれない。記者も約6年前に産業カウンセラーの受講で、桐村さんの講義を受けた1人。当時、キャリアコンサルタントの将来性について質問をしたら、「(活躍の領域拡大は)まだまだこれからですよ」と言われたのを覚えている。それから6年ほどが経過。キャリアコンサルタントは国家資格になり、その役割の重要性も高まりつつある。元人事マンというキャリアパスを持つ桐村さんならではのキャリアコンサルティングの有益性という観点からも一読いただければ幸いである。

もうひとこと:2016年7月号「ギョーカイ人事図鑑」取材後記
大河ドラマ「真田丸」が高視聴率をキープしているが、ベアーズの社名ロゴにある六文銭も、真田の家紋。同社専務取締役の橋ゆきさんは毎週日曜の夜、同ドラマを見て明日からの1週間の気合いを入れる、と笑う。今回のベアーズのリポートは、家事代行サービスのパイオニアである同社の人材教育に特にスポットを当てたが、真田丸のエピソードからもうかがえるように、会社における創業の精神、理念はそこで働く人たちにとって、行動指針にもつながる身近なもの。大河ドラマから自社の創業の精神に思いを馳せられるというのは、理念の浸透の観点からも魅力に映る。

もうひとこと:2016年6月号「実録 人事制度」取材後記
企業がダイバーシティに取り組むことの本質は何か? 今回のラッシュジャパンの「LGBT支援宣言」の取り組みへの取材では、改めてそれを再考する機会にもなった。記者は弊誌で「ダイバーシティ最前線」という連載記事も担当している。そこでは女性の活用や外国人の活用、障がい者の活用など、多様な人材を積極活用し、戦力化している企業のケーススタディにスポットを当てている。もちろん、企業によって、その「多様性」の対象が女性であったり、障がい者であったり、あるいはその両方であったりなどさまざまだが、その成功事例に共通しているキーワードは、「誰もが働きやすい職場」づくり。何も女性や外国人、障がい者を、それ以外の社員と分けて特別視しているわけではない。今回のラッシュジャパンのLGBT支援宣言も、そう考えれば特別な取り組みということではない。「誰もが働きやすい職場」づくりを念頭に置いたダイバーシティ推進の想いがあれば、読後、おそらく共感していただけたのではないかと思う。

もうひとこと:2016年6月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
今回のメトロールのリポートでは、「精神的自立心のある人材」が集まる組織運営の強みに、結果として、焦点を当てる構成になった。「結果として」というのは、本稿のテーマは企業のダイバーシティ推進にあるが、同社の場合、そもそもダイバーシティや女性の活用を強く意識した取り組みをしてきたわけではないからだ。「精神的自立心のある人材」の活用へのこだわりが、結果としてそうした多様性に富んだ職場になった、というわけである。その経緯については本文に譲るとして、とても興味深かったのは、「精神的自立心のある人材」を、同社は採用時点で見極めようとしている点である。入社後の人材教育で、「精神的自立心のある人材」に育て上げるという視点よりも、入社前にそれを見極める。記事の中ではあまり触れなかったが、そのために投資する同社の採用活動の予算はかなりの額だ。決して妥協はしない。この採用に妥協はしないという観点は、人と企業の関係においてとても重要なポイントだと記者は思う。少なくとも、単なる数合わせではなく、「妥協なく」自分を選んでくれた会社に対して、好感を持たない人はいない。そう思うからだ。

もうひとこと:2016年5月号「実録 人事制度」取材後記
今回のダンクソフトの取材は、テーマである「言い出しっぺ制度」の誕生の経緯と併せて、同社のワークライフバランス、あるいはダイバーシティの経緯、成り立ちの側面から見ても、興味深い事例であったように思う。ワークライフバランスにしろ、ダイバーシティにしろ、それを意識して始めた取り組みというわけではなかったが、ボトムアップのスタンスを堅持しながら会社を良くするための取り組みを進めていったら、いつの間にかワークライフバランスやダイバーシティの称号が後から付いてきた。企業も「法人」である以上、「人」である。「人」の気持ちは、やはり人が一番よく分かる。現場のボトムアップの声がいかに大事であるかの意味も、今回のダンクソフトの事例は教えてくれていると思う。

もうひとこと:2016年4月号「ダイバーシティ最前線」取材後記
節句人形のメイン購買層である「若いお母さん」層に近い年代の女性スタッフの活用により、ユーザーの心をつかんでいる人形工房の「ふらここ」。この4月から、同社では新たに女性の新卒社員が入社した。美大出身者も複数いる。人形業界は、見方によっては歴史と伝統に守られた世界。外から見れば、人形づくりへの憧れがあったとしても、どこか世襲や徒弟制度による閉鎖性、敷居が高い業界との印象もある。同社の積極的な女性の活用は、ある意味でそうした伝統による閉鎖性から人形を開放し、これまではなかなか活用しきれていなかったであろう業界外の多くの才能の取り込みにもつなげている。世間では「節句離れ」という言葉もあるが、本当にそうなのか。購買層の多くから支持を受ける商品、そして組織づくりへの大切なヒントが、今回のふらここの事例にはあったような気がする。

もうひとこと:2016年4月号「実録 人事制度」取材後記
今回のLMGの「社内外に愛される組織づくり」は、マーケティングの業界に限らず、ほとんどすべての業種、業界にも当てはまる汎用性のあるテーマであると思われる。LMGでは人事と広報とマーケティングの連携チーム(エンゲージメントデザインチーム)がその推進役を担っているが、ここの部門横断の視点は相互理解の促進や効率性の向上などの観点からも重要だ。例えば、今回のLMGの取材にあたっても、記者は同社と事前の打ち合わせを行ったが、その席では広報担当者だけでなく、マーケティング担当者も同席。それによって、マーケティング業界の知識に疎い記者であっても、取り組みの全体像や記事化するにあたってのポイントなどの整理が大幅に短縮できた。これは人間関係すべてにいえることかもしれないが、ちょっとした「言葉足らず」が誤解を招き、関係にひびが入るということは私の周りでも少なくはない。簡単なようでいて、なかなかできない。当たり前のようで、実は当たり前になっていない。それをただ言葉や文字で示すだけでなく、行動によって一つひとつ可視化(体現)していく。その良い事例であったように思う。

もうひとこと:2016年3月号「ギョーカイ人事図鑑」取材後記
今回のニュートンの取材では「アルバイトスタッフ」の戦力化へ向けた取り組みに紙幅を割いたが、同社では他にも多くのユニークな人事制度がある。人事制度が数多く生まれる会社の風土づくりという観点からも、同社の他の人事制度は、今後また機会があれば取り上げてみたいと感じた。その「人事制度を生み出す風土」としては、例えば「戦略5%、実行95%」というニュートン独特の理念も興味深かった。これは戦略を立てるにあたっては、時間も労力も5%あれば十分であり、残りの95%の力は実行に割くべきであるというもの。同社のスタッフらが投稿する「伝言板」には多くのユニークな事業アイデアが寄せられるが、そこから実際に制度化されたケースも少なくない。それも「単なる言いっ放し、書き込みっ放し」で終わらせない、同社の「戦略5%、実行95%」という企業文化の表れなのかな、と感じた。

もうひとこと:2016年3月号「実録 人事制度」取材後記
サラリーマンらが退社後に同僚と一杯飲みながら語り合う。それも「人を知る」ことにつながるコミュニケーションの一つではあるが、今回のピクシブの人事制度「全員昼食」は、ある意味でそれと似た効果を、アルコールの力に頼らず、昼間のランチ会で実現しようとしている点でも興味深い。オープンな環境で、同じテーブルの仲間もランダムに選択。選り好みがない分、酒席よりも余計、健康的に映る。代表の片桐氏の言葉に「自分が尊敬できる人と一緒に仕事をしたい」というものがあった。その人が「尊敬できる相手かどうか」も、結局は「人を知る」眼、そして「人を知る」文化が、人や組織の中にどれだけあるかとも関係してくる。たかがランチ会、されどランチ会。その目的が明確であるというだけで、ランチ会は組織を変えるだけのパワーを持つのだな、と今回の取材では再認識させられた。

もうひとこと:2016年2月号「ダイバーシティ人事・最前線」取材後記
パソナグループのダイバーシティ施策の取り組みで強く感じたのは、「個」への視点だ。そもそも1人ひとりの「個の活躍」、「個の能力を伸ばす」という観点で組織を見れば、そこに性差や国籍、年齢などの抽象化されたフレーム自体はあまり必要とされない。ダイバーシティ施策を通じて、社内全体の個の底上げを図る。企業がダイバーシティに取り組む本質もそこにありはしないか、と思う。もちろん、「個を尊重していては企業としての生産性が上がらない」という異論もあるだろう。果たしてそうか? 今回のパソナグループのレポートは、ぜひ、そうした観点からもお読みいただければ幸いである。

もうひとこと:2015年12月号「実録 人事制度」取材後記
エンファクトリーの「専業禁止」リポートを書き上げた後、別件の取材で、高齢者の人材サービス会社の人が「これからの時代、40歳以降の中高年は、(今後のキャリアチェンジに備え)むしろ副業を奨励し、もっとパラレルキャリアの機会を持つべき」と語っていた。そもそも企業の平均寿命が30年といわれているなかで、一つの会社、あるいは業種で自分の職業人生を全うしていくのは、極めて難しい。65歳まで引き上げられた定年延長も、今後は70歳、あるいは「元気で働けるうちは80歳でも」という時代もすぐそこまで来ている。その意味でも、エンファクトリー、そして代表の加藤氏の「専業禁止」の取り組みは、多くの企業人にとってはもちろん、企業人事にとっても無関心ではいられない事例だと思う。

もうひとこと:2015年11月号「ギョーカイ人事図鑑」取材後記
今回取材のルネサンスではないが、個人的に週に1、2回、スポーツクラブに通っている。身体を動かすことでの健康維持、ストレス発散が目的だが、そこでの人との触れ合いも、秘かな楽しみ、息抜きにもなっている。今回の取材では「ホスピタリティ」というルネサンスの創業以来の接客ポリシーへのこだわりが強く印象に残ったが、確かにその大切さは、スポーツセンターに足を運ぶたびに感じる。設備やプログラムの充実も大事だが、インストラクターが、こちらのちょっとした変化も見落とさず、心遣いの一言をかけてくれただけで、それ以上の元気をもらえることもある。ルネサンスは今年で35周年。まだホスピタリティという言葉すら日本ではあまり知られていなかった時代から、それを主張し続けてきたということか。それだけでも称賛に値しよう。

もうひとこと:2015年11月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
曽和利光さんの取材日は、朝イチから。かなり多忙な様子で、取材後の写真撮影時も、別室では次の来客との打ち合わせがスタンバイしている状態。「忙しそうですね」と聞くと、「なかなか寝る時間もなくて」と笑う。それでも毎晩、人と会い、酒を酌み交わす時間を大切にしているのだから、その自己管理力、効果的な時間の有効活用には脱帽という他ない。もし曽和さんが、そうしたテーマの著書を上梓したら、真っ先に購入してみたい。そんな気持ちにさせられた人事プロフェッショナルの取材であった。

もうひとこと:2015年10月号「実録 人事制度」取材後記
今回のドン・キホーテの事例からは、インターンシップに参加する学生の「主体性」はもちろん、もっといえば自己のキャリア構築に対する貪欲さ、アンテナの鋭敏さのようなものも感じた。今後の就活も含めた自分自身のキャリア教育、あるいはキャリアデザインにとって、「このインターンシップは有益なのかどうか?」という冷静な視線。その意味では「選ばれるインターンシップ」というキーワードが、今後は企業人事にとっての大きなテーマになりえるのだろうと感じた。

もうひとこと:2015年9月号「実録 人事制度」取材後記
「アントレプレナー集団」のじげんの取り組みで、個人的にとても興味深かった点は、そもそもアントレプレナー志向の人が、人事制度という「組織内仕組み」に馴染む存在なのかという疑問であった。記者もフリーランスで仕事をしているが、独立志向の強いタイプの人間はどちらかといえば、組織内の制度、規則などの縛りに対して抵抗感を持つ人が多いように感じるからだ。それだけに社内の人事制度の公募に多数の人が手を挙げ、社内委員会制度にも全員が参加しているじけんの事例は、「アントレプレナー志向者」社内戦力化の視点からも、興味深い。組織人としての主体性と自立性と、フリーランスとしての主体性と自主性の違い。その観点から再読いただければ、また違った気づきも感じてもらえるのではないか、と思う。

もうひとこと:2015年9月号「The労使紛争交渉人」取材後記
仕事にとてもやりがいを感じているのに、仕事、あるいは職場を辞めなければならない。われわれフリーランスのような不安定な労働環境の立場の人間には比較的、よくある事例ではある。ただ、それが民間企業などの組織で働く労働者においても顕著に見られるというのは、働く人間にとってはもちろん、その業界にとっても残念な現実というほかない。今回の全国福祉保育労働組合の取材では、労使紛争の問題点に加えて、そうした仕事へのやりがいや誇りも感じているのに、「賃金が安い」「仕事量が多い」ゆえに、仕事や職場に見切りをつけなければならないという不本意な労働環境の現実を改めて実感させられたような気がした。

もうひとこと:2015年8月号「ギョーカイ人事図鑑」取材後記
今回の浜商不動産の取材で、一つのキーワードとして印象深かったのが、「学びの社風」を育むことの大切さと、それを社員個々のキャリアパスとどうつなげていくかという視点である。同社の場合、社員の9割が「宅建」の資格保有者であったが、この発想は他業種においても同じことがいえる。例としては人材業界がある。記者は人材会社の多くを取材しているが、現場で働くコンサルタントには、キャリアコンサルタントなどの資格保有者は意外と少ない。「資格なんてなくても、人材ビジネスの業務はできますから」。無資格者の多くはそう口を揃える。確かにそうかもしれないが、相対する企業の採用担当者、あるいは人材の候補者らのクライアントには「果たしてどう映っているのか?」という視点で見るなら、少なくとも有資格者のほうが信頼感のあるコンサルタントに映るのではないか?という仮説は成り立つ。もちろん有資格者が無資格者よりもエライとは思わないが、自分がクライアントの立場なら、やはり信頼感、そして安心感は、依頼への大きな決め手にはなる。たかが資格、されど資格。浜商不動産の人事施策からは、そうした観点での学ぶべき点も多いと感じた。

もうひとこと:2015年8月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
レガシードの近藤悦康氏へのインタビューでは、同社に入社予定の「付き人」インターンの男子学生が1人、同席した。もともと近藤氏がレガシードを立ち上げた理由というのも、アチーブメントを辞めてフリーランスで活動をしていた近藤氏がFacebookで「付き人」インターンを募集。一緒に企業のコンサルタントを行ったことが契機になり、当時のインターン生が創業メンバーになって誕生した。そうした設立の経緯からもうかがえるように、同社にとってインターン生は、単なる業務の疑似体験、あるいは業務の見習い人ではない。付き人としての3ヵ月間には一緒にコンサルティングに加わる人もいれば、クライアントに次年度採用のパンフレットなどの提案をし、なかには契約を取ってくる人までいる。同席したインターン生の場合、同社の今後の新規事業であるテーマパーク構想に共感。自らそのテーマパークの模型を作製するなど、早くもその視線の先にはテーマパーク事業で自分の夢や思いを実現している自らの姿を思い描いている。今回は「人事プロフェッショナル〜仕事の流儀」がテーマの取材だったが、人事プロフェッショナルとしてはもちろん、「人を活かす」経営者としての近藤氏の手腕、資質にも大いに脱帽した次第である。

もうひとこと:2015年7月号「実録 人事制度」取材後記
バリュー(行動指針)の現場への浸透というのは、これまでの人事関連の取材で幾度となく取り上げたテーマである。裏を返せば、浸透がそれだけ難しく、多くの人事関係者にとっては苦労の多い難題ということでもあるのだろう。今回のヴォラーレの人事制度の取材は、ある意味で「現場の納得感のあるバリューの設計・導入」という観点からも、とても参考になる事例であったように思う。トップダウンによるお仕着せのようなバリューではなく、主体的に、当事者意識でそれに関わるボトムアップ型のバリューの実現。それは結局、その会社の社風、風通しの良し悪しとも深く絡む。そのあたりを行間から感じ取っていただけたなら幸いである。

もうひとこと:2015年7月号「ギョーカイ人事図鑑」取材後記
タクシーを利用したことのある人なら、少なくとも一度や二度ぐらいは、その接客サービス、マナーで不満を感じたことはあるのではないだろうか? 今回取り上げた三和交通の人事制度は、まさにそうしたタクシーにおける「利用者目線の本音」「顧客ニーズ」を、接遇サービスの向上に反映させるための仕組みでもある。同時に、人事的な視点で言えばもう一つ、同社のそうした社会性のある取り組みの一つひとつは、利用者への接遇サービス向上という業務上の効果だけでなく、三和交通というタクシー会社のブランド力の向上にも大きく役立っている点も見逃せない。人事制度は、ある意味で会社の「広告塔」にもなり得る。今春、新卒採用過去最高の新入社員を集めた同社は、それを見事に体現したわけである。

もうひとこと:2015年6月号「実録 人事制度」取材後記
カヤックの「ぜんいん人事部」の取材では、そもそも「バックオフィスとしての人事部の機能とは何ぞや?」という問いと、「人事的視点を社内全体で共有することの意義」の問いが、幾度となく、脳裏を交錯した。前者に関しては大手企業と、そもそも人事部門を擁していない零細企業などの比較の観点からも、何らかの解は得られそうだ。が、後者に関してはまだまだ企業間での意識差は大きいだろうし、すでに取り組まれているところであっても、採用活動への現場の関与などその関わりは間接的だ(当たり前ではあるが)。だが、カヤックでは社員の名刺にはすべて「人事部」とあり、少なくとも社外的には人事部の一員と映るであろうし、あやふやな関与、立ち位置では格好がつかない。名は体を表す、ともいう。今後の効果推移が、とても気になる事例の一つである。

もうひとこと:2015年6月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
ウィズアスグループの前田敏幸さんは、社会保険労務士と行政書士のダブルライセンスを保有している。取材当日、前田さんの上着の左胸に光っていたのは金色のコスモス。行政書士のバッチであった。人事コンサルタントには、社会保険労務士と行政書士の組み合わせによるダブルライセンス保有者は少なくないが、なおかつ、同等の業務量でダブルライセンスを活かしている人となると、記者の取材した中でも初めてではなかったか。「ダブルライセンスを活かした人事プロフェッショナルの仕事の流儀」という観点からも、ぜひ、本記事をお読みいただきたい。ちなみに取材後の撮影で、記者が背景を思案していたところ、たまたまお互いの目に止まったのが「行政書士」ポスターであった。そもそも前田さんが初めて埼玉県・川越で開業したのも行政書士事務所。何となくだが、事務所内には前田さんの行政書士への思い、こだわりが充満している…ような気が、撮影中、そのコスモスの金バッチを見ながら少し思ったりもした。

もうひとこと:2015年5月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
IT、人材、医療、メディア――。レバレジーズの事業ラインナップを見ると、「IT系人材会社」という、一般的な同社の企業イメージとはやや異なる多角経営志向の一面がうかがえる。そこには代表者である岩槻氏の「事業へのこだわり」という起業家としての思いとは別の、「雇用の安定」という責任ある経営者としての思いも反映されている。急成長ベンチャーの創業者というと、創業者のカリスマ性や個人の夢、こだわりばかりが強調されやすい印象も受けるが、同じ急成長ベンチャーの創業者であっても、今回の岩槻氏へのロングインタビューでは「経営者」としての責任と役割の姿勢が強く感じられた。その意味でも5年後、10年後が楽しみな会社だ。ちなみにインタビュー記事のタイトルは「起業家の要件は、ひたすらずっと働き続けること」としているが、これは「経営者の要件は〜」に置き換えてもらっても構わない。

もうひとこと:2015年5月号「実録 人事制度」取材後記
今回取り上げたドリコムの人事制度「アツイね!カード」は、制度趣旨としてはおそらく他社でも類似の制度は存在するものと思われる。だが、ドリコムの人事制度の最大の特徴、醍醐味は、そこに同社の風土に適した独自のアイデア、工夫などの要素が多分に込められている点だろう。どんな魅力的に映る制度でも、それがすべての導入企業で同じようにうまく浸透し、効果を発揮できるとは限らない、むしろ、同じように導入しても、自社ではまるでうまくいかなかったという失敗事例のほうが多数派ではないかとすら思われる。本誌も含め、人事専門誌の大半は制度などの事例を売りにしているが、その制度の概要説明も大切だが、同時に「なぜ、この会社ではこの制度が浸透し、うまく機能しているのか?」という深掘りの視点こそ、制度レポートの最大の醍醐味ではないかとも思う。「何をいまさら」と思われそうだが、今回のドリコムの人事制度の取材では、改めてそんな思いに駆られたりもした。

もうひとこと:2015年5月号「The労使紛争交渉人」取材後記
今回のフリーター全般労働組合の共同代表である田野氏への取材は、すでに夜のとばりが下りた時刻でのスタートとなった。昼間は他の仕事をしている田野氏。労働者への相談業務も夜間に行うケースが多く、記事中の写真にもあるように、事務所には簡易ベットもあり、泊まり込むこともしばしばだという。今回の事例では、キャバクラの労使紛争の実態について多くの紙幅を割いたが、興味深かったのは「最終労組」としての同労組のスタンスと自覚である。労働組合、ユニオンに「労働者の選り好みや取捨選択」の差別の実態があるとは思いたくはないが、少なくとも田野氏が接してきた労働者の言葉からは「それを感じさせる」内容の話もあったという。もちろん相談に訪れる労働者のタイプもさまざまであろうが、ある意味で、他の労働組合やユニオンが対応に窮する「相談の難易度」の高い事例と日々、向き合っている。そこにフリーター全般労働組合という存在の、孤高の気骨のようなものを感じた。

もうひとこと:2015年4月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
今回の坂本直紀氏のインタビューでは、社労士の立場から見た「社員と会社の関係性」において、法律的な労使関係の大切さのみならず、「社員の人生の幸不幸」と会社の関わりの言及も多々あり、記者の先入観による「社労士像」とはちょっと異なる一面も幾度となく見受けられた。一言で言えば「現場目線」のようなソフトな印象であろうか。社労士というと「経営者の味方」的なイメージが先行しがちだ。しかし、本気で会社の成長を考えるなら、社員の成長も後押し、共に成長していける関係こそが理想なのは言うまでもない。もちろん、そうはいっても世の経営者の多くは照れ屋であり、体面も重んじる。だからこそ「経営者の思いを社員に伝えられる」代弁者としての人事プロフェッショナルも必要であろう。そんなことも考えさせられた、今回の坂本氏への取材であった。

もうひとこと:2015年4月号「実録 人事制度」取材後記
フローレンスの取材は、約3年前、本誌ロングインタビューで、代表理事の駒崎弘樹氏へのインタビュー以来である。社員数も大幅に増えているなかでの「日本における働きがいのある会社」に4年連続でのランクインは見事というほかない。3年前との比較で、「変わらない」と強く感じたのは、何といってもその「手作り感」であろうか。とにかくオフィス内の装飾にしろ、空間に溢れた文字や絵画にしろ、手作り感の「人の息吹」が強く感じられる。もちろん、それは人事制度においても同様だ。「まずは自分たちで体現していく」。その躍動感、人間臭さ、行動力、積極性……一言で言えば何であろうか?人の力……人間力か? 世の会社には類似の制度はいくらでもある。しかし、その会社・この組織だからこそ、この制度には「人の息吹」が宿った。日々、そんな制度に出会いたいと思う。そして今回のフローレンスの「ひとり親手当」は、まさにそれであったと確信している。

もうひとこと:2015年3月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
研修がモノになるかどうかのキーワードは、「忘れる前に行動に移す」。有本均さんは「勝負は1週間です」と語った。仕事を持つ者にとって、1週間という時間はあっという間である。「やっと研修が終わった」とほっと一息ついている間に過ぎ去ってしまいそうな時間。しかし、鉄は熱いうちに打て、ともいう。「行動の変化」という成果に結び付けられるかどうかは、研修のその興奮が冷める前の1週間にかかっている、ということなのだろう。マクドナルド、ユニクロなどで、研修の第一人者として活躍した有本さんの「実践論」だけに説得力があった。

もうひとこと:2015年3月号「実録 人事制度」取材後記
今回のオンデーズの「エリアマネージャー解散総選挙」の取材で、その制度導入効果としてとても興味深かったのが、「上司へのゴマすり」社員がいなくなり、同時に管理職は「人気商売」のポストになったという点だ。世の中の会社を見渡せば、相変わらず、社内の飲み会やカラオケともなれば、部下が上司の太鼓持ち。上司の覚えめでたい存在でなければ、なかなか出世もしないという旧態依然のピラミッド型組織が大多数だろう。まあ、それで高い生産性の好循環が維持できるのなら、それが悪いとも言い切れないかもしれないが、ただ、一つだけ強調しておきたいのは、制度導入後、350人規模の社員数を持つオンデーズの社員の離職率は1%レベルまで激減。「社員が辞めない会社」に変わったという点だ。生産年齢人口が減少し、少なくとも国内での日本人労働者の採用が難しくなる時代、今回のオンデーズの事例が与える企業人事へのインパクトは決して小さくはないだろうと思う。

もうひとこと:2015年2月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
今回の若林雅樹氏へのインタビューでは、企業の生産性向上のキーワードとして、「継続と徹底」という言葉が、氏の口から何度も出た。取り組む企業の現場ではそれだけ「当事者の心の揺れ動き」があるということである。「やはりできない、難しい」「目標売上が未達成だから、残業時間の延長は甘くしよう」……「継続と徹底」を方向転換、あるいは崩壊させる要因や理由づけは職場内にいくらでも転がっていよう。それに対して「大丈夫、大丈夫。同じ思いをして成功している人も部署もある」と現場でサポートし続ける。そんな外部メンターのような若林氏の仕事ぶりから、人事プロフェッショナルとしての「仕事の流儀」の一端を垣間見た思いがした。

もうひとこと:2015年2月号「The労使紛争交渉人」取材後記
今回のジャパンユニオンの矢部明浩書記長への取材で、労働組合そして企業の双方にとっての「課題」ではなかろうか?と、今も強く印象に残っていることがある。それは相談に訪れ、組合員となる労働者のスタンスが、「退社後」の相談であるケースが増えているという点だ。つまり会社に残り、その中で仲間を増やし、経営者と改善へ向けた話し合いをするという、本来の労働組合の役割としての「醍醐味」が薄れているということ。そして同時に労働者側の意識も、辞めた会社なんかにはもう未練はないということなのか、「とにかく最後に、取れるものは取ってやれ」という損得勘定だけの交渉に終始してしまっている現状も、少なからずあるということだ。そこにあるのは「もう関わり合いたくはない」という当事者の投げやりな後ろ向きの感情である。「愛社精神」とまでは言わないが、自分が一時でも関わった組織への愛着というものが薄れゆく社会。労使紛争の現場取材からは、そんな「労働者と会社の冷えた関係」も肌で感じることが多くなった。

もうひとこと:2015年1月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
今回の吉井信隆氏へのインタビューでは、主にニュー事業を生み出すための社内ベンチャーとそのための人事のバックアップの仕組みについて触れているが、ちょっと視点を変えて、いわゆる「個人ベンチャーと企業内起業の違い」という観点からもぜひ一読されることをお勧めしたい。日本では個人ベンチャーがなかなか育ちにくいといわれるが、一方で社内ベンチャーから大きく生まれ育った事業や企業は少なくない。「和製(日本型)ベンチャー」の神髄とは何か? の答えも、本インタビューから感じ取ってもらえれば幸いである。

もうひとこと:2014年9月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
今回の渡部昭彦氏へのインタビューでは、現在の人材エージェント会社の経営者としての一面はもちろんだが、同時に人事コンサルタントとしての一面、そして現在のキャリアの土台でもある「前職人事マン〜あの経験があればこそ」の一面もできるだけ盛り込ませていただいた。思えば記者と本誌の関わりも、「前職人事マン〜あの経験があればこそ」という連載記事からであった。現在では「人事プロフェッショナル〜仕事の流儀」にその要素が若干、受け継がれているが、前職人事マンの現在の活躍の様子を伝えることで、人事という仕事の奥深さ、普遍性のようなものにスポットを当てられればと思っている。今回の渡部さんのインタビューを経て、改めてそんな思いを強くさせられた。

もうひとこと:2014年9月号「採用試験問題例」取材後記
本文では触れられなかったが、今年度のカケハシスカイソリューションズの新卒採用試験では、「演劇採用」という選考手法も並行して行われた。ニートの若者に働く意欲を抱かせる、という設定での芝居をしてもらうというものだが、採用担当者側の狙いは基礎能力以外のプラスα。自ら手を挙げて進んでモチベーションを上げられる人。「そういう人は場面場面でいちいち面白味を入れたがる傾向にある」ようで、そうした主体性豊かな学生の確保に活用しているという。

もうひとこと:2014年8月号「実録 人事制度」取材後記
本文では触れていないが、コムニコでは今年4月から、月間の「社長賞」の制度を新設した。あえて社員が選ぶ社内表彰制度(M.O.C.)と並列することで、M.O.C.の役割・真価をさらに高めようという狙いである。導入から4ヵ月が経過し、そちらの導入効果もそろそろ気になる頃ではある。

もうひとこと:2014年7月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
以前、人材系の専門誌で「キャリアプロの達人」という連載をしていたことがあり、その中で標準キャリア・コンサルタント(キャリア・カウンセラー)の主な認定団体の代表者などに、「キャリア・コンサルティングとは何ぞや?」をメインテーマに話を聞いたことがある。正直言うと、「標準キャリア・コンサルタント」という括りの中で、「これほど団体、個人のキャリア・コンサルタント観は違うのか?」との驚きと同時に、キャリア・コンサルティングという資格の専門性について、すっきりしないモヤモヤ感も残った。今回の立野了嗣氏のインタビューでは、人事関係者の間でも有資格者が少なくないキャリア・コンサルタントという資格の専門性について、『アンと雪の女王』の主題歌などを例に、立野氏が分かりやすく解説してくれたのではないかと思う。そんな立野氏ですら、「私の言っていることが正しいかどうかは分かりませんよ」と笑う。記者も有資格者の一人だが、今回の取材では目の前のモヤモヤが、少し晴れた思いがした。

もうひとこと:2014年7月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
「取材を受けるのも、本当はあまり好きではないのです」。取材を終えた後、釘崎氏はそう語り、笑った。実際、釘崎氏が経営するパフの社員は、なかなかのタレント揃い。以前、同社主催の新卒採用をテーマにしたセミナーに参加したことがあるが、そこでは議題となるテーマごとに、社員による寸劇が演じられた。文章や言葉だけでなく、芝居という立体的な演出手法で、参加者の人事関係者らの笑いと関心を誘う。そのパフ社員の見事な役者っぷりに、記者も引き込まれたものだ。「社員が主役の会社だと思っているので、社員にいろんなことをやってもらいたい。創業当初は若い社員と私しかいなかったため、私が前に出ていかざるを得なかった。でも、今は社員もみんな経験を積んでますから。私はもう、本当はあまり表には出ていきたくはないのです」。その釘崎氏の言葉を聞いて、先のセミナーでの社員の見事なタレントぶりを思い出し、「なるほど」と心の中で頷いたものだ。

もうひとこと:2014年6月号「採用試験問題例」取材後記
今回のアイ・アム&インターワークスの「採用試験問題」の取材では、取材後、実際に同試験を受けて今年4月に入社したばかりの新入社員からも話を聞くことができた。10分間という時間制限の中で、自分のこれまでの人生のモチベーションの上がり下がりを曲線で描くという作業について、「当時感じていたことと、今感じていることとの違いはあると感じた」「やりたいことをやる。その負けず嫌いの姿勢は今も変わらない。ぶれていないのだなと感じた」など感想はさまざま。採用試験といえばある意味で「自己紹介」の場であるが、同時に「自己理解」の場であってもいい。特に若い学生相手の新卒採用なら尚更である。今回の取材では、「採用のプロ」としての同社のそうした老婆心のような、懐の深さも感じた。

もうひとこと:2014年5月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
「横浜市は中小企業が多い街。まずは中小企業をサポートしたいと思いました」。大学からの経済政策の提案といえば、行政機関に対してのアプローチが一般的であろう。だが、横浜市大の影山摩子弥教授はあえてそれを選択しなかった。「地域の活性化にはボトムアップで中小企業を強くしていくことが必要だと考えた」からである。大学と地域づくりとの関係におけるアプローチだが、人事コンサルと企業づくりとの関係に置き換えてみると、人事担当者にとってもちょっと興味深いアングルであるように思われた。

もうひとこと:2014年5月号「The労使紛争交渉人」取材後記
「職場に100人の障害者がいれば、それこそ100通りの解決方法が必要であるといっても過言ではありません」。ソーシャルハートフルユニオンの久保修一書記長のその言葉には、法定雇用率の数字合わせにばかり追われ、個々人の理解・配慮にまでは十分に手が回らない、一般企業の障がい者雇用の現状の「危うさ」が内包されている。危うさが表面化してしまってからではもう遅いのだが、日本の行政はいつも、表面化し世論の逆風が巻き起こらなければ重い腰を上げない。今回、偶然にもロングインタビューにおいて「障害者雇用の経営的メリット」にスポットを当てている。ソーシャルハートフルユニオンのような労働組合が企業と障害者の仲立ちをすることの有益性という観点と併せて、併読願えたら幸いである。

もうひとこと:2014年4月号「実録 人事制度」取材後記
ドワンゴの「受験料制度」の目的(本誌記事参照)は、メディア報道やサイトの炎上等で見事、達成したといえよう。記者も今回、改めて人事制度における目的と手段についての「議論の大切さ」を感じた次第。景気浮揚で大手企業の採用意欲が高まっているときだけに、今後は「新卒採用の本当の意味・目的とは何か?」を考える二重の効果も期待したい。

もうひとこと:2014年3月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
人材紹介業という分野における取材歴は約10年ほどになるが、今回、ロングインタビューに登場いただいた武元康明氏は、その中でもとても印象深いヘッドハンターの1人である。社長職にありながら、現役バリバリのヘッドハンターとして、自ら率先して全国を飛びまわる。自分の背中を通して、部下を育てる--そんな今の時代では懐かしい経営者の心意気のようなものも感じた取材でもあった。

もうひとこと:2014年3月号「実録 人事制度」取材後記
「6時間労働制(ろくじろう)」。急成長中の会社で働いている超多忙なスタッフの中には、もしかすると「はた迷惑な制度」と受け止めた人もいたのではないか? 取材前、記者は内心、そう思っていた。しかし、制度の本質に迫るうちに、それが会社にとっても、働くスタッフにとっても、WinWin(ウインウイン)な仕組みであることに気づき、余計な勘繰りだと反省した。記者はサラリーマンではないし、労働時間の枠組みとは無縁な立場だが、もし生産性も高い「カッコいい働き方」をしているサラリーマンを目の当たりにしたら…ちょっと魅力を感じるかもしれない。ろくじろうが働くすべての人に投げかけた「問い」は実はとても大きなものだと感じた。

もうひとこと:2014年1月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
男手一つで3人の子供を育てている吉田大樹氏。そうしたイクメンパパの吉田氏には、もう一つ、シングルファザーとしての顔があることを今回の取材で知った。育児、家事、仕事のすべてを一身に背負っているその姿に、世の男性人は何を感じるのか?流行語にもなった「イクメン」の凄みのようなものに、同氏のインタビューでは触れたような気がした。

もうひとこと:2014年1月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
人事コンサル歴20数年の山本紳也氏にして、「入社2年目、3年目のコンサルタントを見ていて、20数年前の自分なら絶対に出来なかったと思う」と言わしめるほど、情報量、分析力ともに複雑高度化している現在の人事。裏方でありながら、現場にはなかなか見えない人事部長の役割と負担はとても大きいのだろうと、山本氏へのインタビューで強く感じた。

もうひとこと:2013年12月号「実録 人事制度」取材後記
記事にならなかった余談を1つ。アイエスエフネットの渡邉代表は毎月1回、大手企業の経営者との話し合いの席に、あえて6人前後の学生を同席させる。それは学生にとっての社会学習の場でもあるが、同時に渡邉氏にとって、「企業の判断基準」に対しての学生個々の率直な感想を聞くための場にもなっている。それも「矛盾があることをやってはいけない」という同社のこだわり、スタンスを感じさせる話であると思う。

もうひとこと:2013年11月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
全く同じ内容のメッセージでも、伝え方がうまい人と下手な人がいる。今回、ロングインタビューでお会いした日大准教授の安藤さんは明らかに前者だ。自分の学生時代を思い出すと、授業ではほとんど居眠りをしていた記憶しかないが、安藤さんは「学生の理解度が低いと話す教員に限って、教え方が下手です」ときっぱり。わが意を得たり、と思ったが、ふと、インタビュアーである自分の伝え方はどうか?とちょっぴり不安にもなった。

もうひとこと:2013年10月号「採用試験問題例」取材後記
面接では、その人の雰囲気から、自社の社風に合う人材かどうかの見極めはできるかもしれない。ただ、「仕事への情熱」は、やはり実際にその仕事をやってもらわなければ見極めは難しい。今回のアイデムの採用試験は、まさにその「仕事への情熱」を推し量るのがメインテーマ。たまたま個人的に「グループワークの母」であるコイル氏の勉強をしていたこともあり、改めてグループワークの効果、有益性に触れた思いがしたものだ。

もうひとこと:2013年10月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
高間邦男氏への今回の「人事プロ」インタビュー。関係の質を上げるための「対話」の重要性のところでは量子論の話題が飛び出し、「個人目標を持たない組織」の強さのところではニューロサイエンスの話題が。高間氏の引き出しの多さには脱帽しっぱなし。組織開発の分析に、畑違いの科学的な根拠を見事に融合させるあたりは、さすが、人材開発のパイオニア! である。

もうひとこと:2013年9月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
かい援隊本部を訪れると、20代の若いスタッフが出迎えてくれる。若い現役世代を応援する、シニアはそのための名脇役であるべき、という新川会長の事業スタンスを、自らの会社でも実践している。「元気シニア」というと、「まだまだ現役!若い奴らには負けないよ」といった現役世代と真っ向から張り合うイメージもあるが、新川氏が理想とする「元気シニア」はそれとは違う。同じ「元気」でも、それを自分たちの名声や野心のためではなく、子や孫の世代である若い現役世代を応援するために使うべき、というスタンス。同社の「共感登録者」の数が幅広い世代の支持を受け、1年間で3倍近くまで増えたのも、それゆえであろう。

もうひとこと:2013年9月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
人事プロフェッショナルのような人物インタビューでは、あらかじめ、「私の恩師(人事に関連)」「習慣として守っていること」「人生を変えたあの一冊」などの質問を10数項目挙げ、その中から取材相手に2、3選び出してもらうという方法で依頼することが多い。それはインタビュアーの勝手な思い込みや主観によるテーマの絞込みは極力避けたほうが、本人のリアルな仕事観に迫れるとの思いがあるからである。もちろん、そうした質問項目外の話が中心になるケースもある。今回の片山氏へのインタビューで最も感動させられたのは、10数項目の質問のすべてについて、回答を用意してくれていたことだ。通常は1時間程度で終わる取材は2時間に及んだ。4頁という紙幅の中でそのすべてはとても伝えきれなかったが、人事プロフェッショナルとしての片山氏の仕事観や人となりは、それだけでも十分に記者には伝わってきた。

もうひとこと:2013年9月号「The労使紛争交渉人」取材後記
産業別労働組合といえば、一般には企業内労働組合であり、個別的な労使紛争には関わらないというケースが大半だ。今回、取材した電機・情報ユニオンは、産業別労働組合でありながら個別での草の根的な相談活動を行っている極めて珍しい団体であった。同ユニオンが対象とする電機・情報関連産業の労働者は450万人ともいわれるが、その中で電機連合などの労組に加入している労働者はその4分の1以下に過ぎない。18万人の大リストラが行われている業界で、4分の3以上の労働者はそうした組合に加入していないという事実は、労働組合の存在意義も含めた重い課題を、各労組に突きつけてもいる。同ユニオンの森英一書記長は、その重い課題に今、草の根的な個別労使紛争のスタンスで、真摯に向き合おうとしている。森氏の名刺には事務所のアドレス以外に、自宅の住所や電話番号、メールアドレスなども記載されている。そのオープンな姿勢も、巨大労組にはない労働者への共感、求心力にもなっているのではないか、と感じた。

もうひとこと:2013年8月号「実録 人事制度」取材後記
「自社がいい会社になっている。そしてさらにいい会社になる。手前ミソですが、その自信はあります」。取材後半でVOYAGE GROUPの人事統轄の青柳智士取締役CCOが発した言葉は、今も耳に残る。人事制度の目的は、それ自体を作ることではない。現場に落とし込み、さらに業績の向上に何らかの形で寄与させることである。当たり前のことだが、今回の取材ではそれを改めて再認識させられた。冒頭の言葉を人事が自信を持って言える。それこそが人事という役割の醍醐味でもあるのだろうと思う。

もうひとこと:2013年7月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
超高齢社会の日本。企業のシニアビジネス、各産業のシニアシフトへ向けた取り組みが加速している一方で、業種間格差、あるいは企業間格差の激しい現状を、今回の村田裕之氏へのインタビューでは強く実感させられた。ビジネス月刊誌の編集で「シニアビジネスでチャンスを掴め!」などの特集を企画したのはもう20年ほど前だったと思うが、市場としてはまだまだ発展途上であり、テーマとしても全然、ロートル感はない。シニアビジネス、そしてシニアシフトの真骨頂はまだまだこれから!そんな気分にさせられた1時間だった。

もうひとこと:2013年7月号「採用試験問題例」取材後記
試験に落ちた学生に対しても「その理由」を伝える。それがジョブウェブの選考スタンスである。採用プロジェクトチームの木島リーダーは言う。「企業対人ではなく、人対人で接する。選考後のフィードバックは、その人の成長を願うというスタンスであるなら、当然のことだと思っています」。それはまた、採用支援会社である同社が、採用を成功させる企業の特徴として、1番目に挙げているポイントでもある。取材をしながら、採用支援会社のジョブウェブの採用試験を経験した就活生たちはみんな、いいお土産を得たのだろうな、と思った。

もうひとこと:2013年6月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
今回の高橋克徳氏へのインタビューでは、人事関係者にとっても関心が高いテーマであろう、氏の著書である『不機嫌な職場』との関連から、ご機嫌な職場づくりの大切さについての考えを中心に伺った。紙幅の都合もあり、誌面では触れられなかったが、同著を執筆するきっかけにもなった氏の研究テーマの一つでもある「言われなき弱者の救済」への熱い思いは、とても印象に残った。「社会環境の仕組みが変わっていくことで、元々は力のあった人たちが弱い立場になっていく。生かしどころが本当はあるはずなのに・・・元気をなくし閉じこもっていく。そういう状況は変えなければいけない」。人事関係者が直視すべき、不機嫌な職場のデメリットの本質、根っこも、おそらくそこにあるのだろうと思う。

もうひとこと:2013年6月号「実録 人事制度」取材後記
「残業半減運動」というネーミングへの受け止め方は人によってさまざま、会社によって賛否両論だろう。SCSKではあえて、社長のトップダウンでそのネーミングが決まった。社員数7,500名の大きな組織。しかも期中で発案された人事施策である。それをすべての部署で達成するのは、容易ではない。反動リスクも予想される。今回のSCSKへの取材では、世間では掛け声だけの形骸化した「残業削減」施策が横行するなかでの、企業の人事制度に対する「本気度」というものに触れたような気がした。人事施策に対して各部署の上層部、そして現場の社員一人ひとりが本気で、「残業を減らす」ために知恵を出し合い、それを共有して、削減数字というリアルな目標と日々、向き合えるか。数値目標の達成も大切だが、「本気になればこんなこともできる。こんなアイデアも出せる」という、会社の組織力をも喚起した同社の取り組みは、「後学」という観点からも「実録・人事制度」のリストに加えられて、本当に良かったと思う。

もうひとこと:2013年5月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
最近、テレワーク(在宅勤務)関連の取材が増える中、取材先では田澤由利さんのお名前をたびたび耳にしていた。今回のロングインタービューでは人事関係者が読者層ということもあり、「雇用型テレワーク」に焦点を絞ってお話を伺った。ライターとして「自営型テレワーク」を実践しているわが身からすれば、結構、身近なテーマであったりもするのだが、今後、田澤さんらが推進している「雇用型」のほうの普及が進めば、例えば「自営型」とのボーダレスなども進み、半雇用・半自営テレワークのような多様性のある働き方なども出てくるような気がした。そのための土壌作りの観点からも、雇用型テレワークが人事関係者の話題の的になってほしい。今回の取材記事がその後押しにもなれたら、と思う。

もうひとこと:2013年5月号「The労使紛争交渉人」取材後記
今回のAPFS労働組合の山口執行委員長への取材では、「外国人労働者」と「外国人人材」という、似たような言葉であるが、実はまるで扱われ方が違う、日本で働く外国人の実態を垣間見た思いがした。脱稿後、ミャンマー(ビルマ)のアウンサンスーチー氏が来日した模様がテレビに映し出された。APFS労働組合の組合員にはミャンマー(ビルマ)人が多くいる。領土問題もあり、中国や韓国との関係が冷え込む中で、ミャンマーの関係構築を大事にしたいという有識者の意見も最近はたびたび耳にする。日本の零細企業でかなり不条理な労働環境に置かれ、同組合に相談に訪れるミャンマー人は増え続けているという。ミャンマーとのポジティブな関係構築の議論もいいが、その足元の労働現場でミャンマー人の「日本企業離れ」も起きているという現状を、識者は知っておくべきだろうと思った。

もうひとこと:2013年5月号「人事プロフェッショナル仕事の流儀」取材後記
竹内睦さんのお名前は、労使紛争の取材現場でよく耳にしていた。交渉相手の労働組合にこれほど毛嫌いされる社労士もいないだろう、と思いつつ、同時にそこからは仕事のスタンスが明確で首尾一貫しているプロフェッショナルな仕事の匂いを以前から感じてもいた。今回、初めて取材でお会いしたが、そのあたりはイメージ通りの人であったと思う。営業マン時代の自身の苦労話、そして、背水の陣に近い思いで社労士としての独立に賭けた当時のエピソードを語る竹内氏の姿からは、むしろ挫折を知る人間特有の人情味のある一面にも触れられた。本連載「人事プロフェッショナル」に登場いただいた方々の中には、やや読者である人事関係者への悪印象を恐れてか、肝心なところは「ここはオフレコで・・・」と歯切れが悪いケースも見受けられたが、今回の竹内さんの取材ではそうした歯切れのなさは一切なかった。それも「経営派」社労士としての明確なスタンス、首尾一貫したプロフェッショナルな生き方ゆえであろう。

もうひとこと:2013年4月号「採用試験問題例」取材後記
会社や働いている社員の単なる紹介ではなくて、会社として学生に本当に伝えたいことを学生の気持ちになって伝える。今回のソーシャルリクルーティングの採用試験問題の取材では、そうしたソーシャルメディアという媒体ならではの「親近感」が、ある意味で本番の面接試験とはまた違う、本音のコミュニケーションを醸し出す土壌として機能していることを再確認。アツく自社の魅力や経営を語れる採用担当者にとっては、とても参考になる事例であったと思う。

もうひとこと:2013年3月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
人事にとっての「主体性のある採用」とは何か?今回のビズリーチ代表、南壮一郎氏へのインタビューでは、読者に対してそうした大きな問いかけがなされた。本誌では3年半前から「採用のプロが作成 採用試験問題・解答例」という連載記事も担当しているが、つくづく採用とは会社の心臓部であり、人事のプロフェッショナリズムが問われる専門領域であると感じた。どうしても不況、不景気の買い手市場になると採用に関する記事は軽視されがちであるが、あえてその流れに棹を差し、愚直にその本質を追い続けるのも専門誌の役割なのだろうと、今回の南氏のインタビュー記事をまとめながら、改めて思った次第。

もうひとこと:2013年3月号「実録 人事制度」取材後記
六本木ヒルズ森タワーにオフィスを構えるエンターテインメント企業「CROOZ」のユニーク人事制度の一つ、「残れまテン」にスポットを当てたが、同社のユニーク人事制度は他にも数多くある。同社のHPにはそれらの概要が紹介されているので、本誌記事で興味をもたれた方なら、そちらの事例も大いに参考になると思う。ソーシャルゲーム事業などエンタメ感溢れる会社からはなかなか想像できないほど、一つひとつの人事制度には人事担当者の覚悟と、現場で働く人たちの思いが詰まっている。それは人事制度の本質とは何か?を常に意識しながら、制度作りと向き合うプライスレス本部執行役員の対馬慶祐氏ら人事担当者の汗のかき方からも伺える。本連載では、制度のあり方、背景、狙いだけでなく、そうした制度作りの人たちの汗の部分にもスポットを当てていきたいと思う。

もうひとこと:2013年2月号「The労使紛争交渉人」取材後記
全労連・組織局長の斎藤氏への今回の取材で、人事の印象を問うと、「8割は上のご意向、言われるまま」という答えが返ってきた。労使紛争の場面では、人事が「判断する」という機会がほとんどない実情の一端を垣間見た思いだが、「しかし、人事が団交の場で出てくるときは大体、解雇問題であり、そうであれば必ず、なぜ、辞めることになったのか?という人事の領域に踏み込まざるをえない」と斎藤氏。労使間交渉における人事の重責の一つは、まさにそこの部分のボトムアップであるのだろうと思った。

もうひとこと:2013年1月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
最近はグローバル人材をテーマにした取材が多いが、今回、ロングインタビューをお願いした森山たつをさんも、自身が海外就職を模索するなどのグローバル人材の体現者であり、その研究家である。グローバルというと「日本から海外へ」というイメージばかりが先行しがちだ。しかし、今回の森山さんもそうであるが、グローバルな日本人像の先にあるのは「日本の未来のため」。外向き志向に見える人ほど、実は内なる日本を愛している。そんな暖かい気持ちにも浸れたロングインタービューであった。

もうひとこと:2012年12月号「採用試験問題例」取材後記
就活中の学生から見た人事の存在、役割といえば、「採用の窓口の人」というのが大方の見方ではなかろうか。今回のギブリーの採用試験問題では、学生は人事担当者の立場に自分を置き換えて、「今の自社」に必要な人材の選考を行うが、そこで大きく問われるのは「経営者としての視点」の有無だ。学生の中には、同社の採用試験を受けたことを契機に、人事という仕事への興味、関心が高まり、有能な人事マンとしての生き方を志向する人も誕生するかもしれない・・・原稿を書きながら、ふと、そんなことも思い浮かべたのだった。

もうひとこと:2012年12月号「実録 人事制度」取材後記
良い意味での腰の軽さ。それも人事制度というものの魅力、醍醐味なのかもしれない。今回からスタートした新企画「実録 人事制度」。その1回目に登場していただいた「ゆめみ」の人事制度は、「制度」という言葉からイメージされる窮屈な縛りはない。同社のユニーク人事制度の生みの親である総務人事部長の松田新吾氏は「同じ内容の制度を繰り返すのは好まない」と、たとえ同じ人事制度を継承するとしても、そこには改善・改良の新たなアイデアが盛り込まれる。制度が先か? 人が先か? 旧態依然の制度からは、人事の「腰の重さ=怠慢さ?」を感じることもしばしば。人事が「生き物」であるなら、制度も生き物。そんな思いがした今回のゆめみの取材であった。

もうひとこと:2012年11月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
今回の小沼大地さんへのインタビューでは、さまざまな「留職」効果のようなエピソードも聞くことができた。誌面の都合で紹介できなかった一例を紹介すると、このパナソニックの「留職」体験を耳にしたある企業の人事担当者はこんな感想を漏らしたという。「もう会社説明会などは止めて、こうしたプロジェクトを説明できるような会社にしたい。企業にとっては会社の内側のリテンションとしてだけでなく、外側のリクルーティングとしても効果が期待できる」と。確かに記事の中で紹介したパナソニックのケースもそうであるように、「留職」プロジェクトの持つある種、劇的なドラマ性のあるインパクトは、リクルーティング効果としても、かなり有効であると感じた。「留職」にはまだまだ未開の可能性が眠っている――そんな強い印象の残る今回の小沼さんへのインタビューであった。

もうひとこと:2012年10月号「採用試験問題例」取材後記
就活生にとっての採用試験が、単なる「企業の選考の場」ではなく、学生個々の「キャリア観の発見の場」でもある――今回のインテリジェンスの採用試験では、そうした学生側にとっての就活における有益性らしきものの一端に触れられたように思う。不合格で意気消沈させるのではなく、エールを送る場としての採用試験というものも、理想論かもしれないが、あってもいいと感じさせてくれる、そんな今回のインテリジェンスの取材であった。

もうひとこと:2012年9月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
徳田雄人さんが受ける「介護と仕事の両立」に関しての相談内容は、相談者の状況として「上流・中流・下流」の大きく3段階に分けられるという。徳田さんがスマートエイジング以前の支援活動で受けた相談内容の多くは、いわゆる要介護で仕事を辞めてしまい、生活設計の面でも家族間で揉め始めるという「下流の段階」であった。「その段階になると、やはりどうしても解決の難易度は上がってしまう。“なるべく早めに”上流の段階で対策を打つという視点が大切でしょう」と徳田さん。今回の徳田さんへのインタビューでは「上流で対策を打つ」法人向けの相談と情報提供というものの重要性を強く感じた次第。

もうひとこと:2012年8月号「The労使紛争交渉人」取材後記
今回の日本介護クラフトユニオンの取材では、開業資金があまりかかからず、新規参入しやすい介護業界ならではの課題も多いと痛感した。その一つが労基法違反の一部業者の存在だが、そうした課題の「自浄作用」にも同ユニオンが深く関わっていることを知った。労働組合というと「労働者の味方」というイメージが強いが、今回の取材では「業界(共通の利益)の味方」としての労働組合の役割というものもあるのだな、と思った次第。

もうひとこと:2012年7月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
「ストップをかけるための有効なルールがなかった」――パワハラ、セクハラ問題に取り組む金子雅臣さんはそう語った。一定の処分(ルール)を制度化し、職場のハラスメントにストップかける。なるほど、と思いつつ、ふと、「社内の細かいルール化は社員の公平さを担保する」と語っていたある経営者の言葉を思い出した。その会社は社員の6割が外国籍。当然、公私のトラブルも予想されるが、徹底した社内のルール化でトラブルはほとんどなくなったという。ハラスメントにおいても同じことがいえるのだろう。自浄作用を促すにはまず、組織内での有効なルール化が先決。やはり人事が動かなければ、ハラスメント、ひいては企業体質の改善は進まない!? そんな課題感を抱いた今回の取材であった。

もうひとこと:2012年6月号「The労使紛争交渉人」取材後記
女性ユニオン東京の初代委員長でもあった伊藤みどり氏は、労働運動歴20年以上のベテラン。組合活動の表も裏も知る氏だけに、労働者自身の力を奪いかねない「個別救済型」労組のあり方に一石を投じる数々の発言には、とても説得力を感じた。これだけパワハラやセクハラなどの労働者の問題が増加している中で、国内の労働組合は減少傾向にある。理由はいろいろあるだろうが、労働組合の「あり方」に最も疑問を感じているのは、もしかしたら労働者なのではないか?とも考えさせられた今回の取材。「中途半端な救済はある意味で残酷です」という伊藤みどり氏の言葉が、今も耳に残る。

もうひとこと:2012年5月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
思いが人を惹きつけ、共感の場を作る。社会起業大学の田中勇一理事長のインタビューでは、社会起業、そしてその担い手の育成への強い思いを感じた。同時に人事のプロとしての田中氏の考えへの共感も多かった。紙幅の都合で紹介できなかったが、例えば社員を観客型から参加型へ導く人事施策。『福利厚生を充実させること自体はいいのですが、それでは社員の参画意識が受け身になってしまう懸念があります。そうした既得権益的な観点ではなく、自分はこの会社こういう貢献をするために入社した。そうした考えで自主的に仕事をしたいと思う社員が増えてきたら、会社も変わります』。人事パーソンにとって、ソーシャルビジネス的視点から学ぶ面は少なくないと感じた取材でもあった。

もうひとこと:2012年5月号「採用試験問題例」取材後記
ザメディアジョンの山近義幸代表への取材アポは、実は1月に決まっていた。山近氏が講師を務めたあるセミナーでの直接依頼。本社は広島。南九州市の観光大使も務めるなど多忙な山近氏。お互いのスケジュールの関係などもあり、3月の上旬にて調整。しばらく間が開いたこともあり、深夜にそっと確認のメール。すると1時間ほどしてピロピロ〜♪とケータイが鳴った。山近氏からであった。時計はまだ午前5時前。今回の採用試験問題の『かばん持ち』選考では、そうした予測不能な出来事、ある意味で人間臭さ、その人らしさが随所に垣間見られる。形式化した室内面接ではなかなか見極められない、本質採用の美学に触れた気がした取材であった。

もうひとこと:2012年4月号「The 労使紛争交渉人」取材後記
若者の労働相談を受けるポッセの今回の取材では、若者の視点から見た「離職率の高い会社」というのが、一つのポイントであったと思う。ブラック企業、就活生が警戒する企業の職場とはどういう職場なのか? 特に、就職できない大卒の新卒者がこれだけ多い時代ですら人が集まらない中小企業の採用の場合、単に「宣伝力がないだけ」なのか? 新卒社員を受け入れるだけの風土や体制に不備はないか? そんなこともふと、考えさせられた取材であった。

もうひとこと:2012年3月号「ロングインタビュー」取材後記
「ソーシャルビジネスの第一人者」「ワークライフバランスのシンボル的存在」としても多忙な日々を送る駒崎弘樹氏。NPO法人フローレンスの代表理事として8年目。スタッフ数は当初に比べ3倍の120人になった。求人広告は打たなくても、給料が高くなくても、人が集まる組織の魅力とは何か? 今回の取材で、読者諸兄にその一端でも伝えらえれば幸いである。

もうひとこと:2012年2月号「採用試験問題例」取材後記
ウェブやバーチャル空間だからこその「アナログさ」、人間の心の奥底が垣間見られる。そんなリアルとバーチャルの「併せ技」の醍醐味を強く感じさせた、今回の「採用のプロ」ポジカルの取材。「ウェブ採用元年」の今年、注目企業の1社であろう。

もうひとこと:2012年1月号「ロングインタビュー」取材後記
柴田励司氏の『もう一言』〜大人のインターンについて〜
『万年課長補佐という認知が周りにあると、自分自身が知らないうちに、それを演じてしまっている。そんな自分の殻を打ち破ってもらう「大人のインターン」という企画を今、考え中です。それにより、失った自信を取り戻してもらいたいと思っています』

もうひとこと:2012年1月号「The労使紛争交渉人」取材後記
鴨桃代氏の『もう一言』〜使用者の「プライド」について〜
『企業との団体交渉でときどき感じる違和感の一つに、使用者の変な「プライド」があります。自分が傷付くか、傷付かないかという立場にばかりこだわっている。この会社をどうやって維持していくかというほうに、もっと「プライド」を持つべきでは? と感じることが最近はよくありますね」

もうひとこと:2011年12月号「採用試験問題例」取材後記
人材の奇想天外さ、発想の柔軟さなど、経験や知識、スキルでは推し量れない「隠れた能力=イマジネーション」を見極める。今回のJACリクルートメントの採用試験の最大の醍醐味は、そこだ。斬新な選考法だが、同社の「人材紹介」というビジネスモデルに限らず、他の職業においても応用可能な試験問題であり、さすがは「採用のプロ」というところか。

もうひとこと:2011年11月号「ロングインタビュー」取材後記
宮治勇輔氏は大学のゼミで、「企業理念からそのビジネスモデルまで、一貫性と整合性がなければダメだ」と教授に言われた。一次産業を、かっこよくて・感動があって・稼げる3K産業にするという理念、そしてバーベキュー。教授の言葉はそのまま「みやじ豚」の経営に受け継がれているように思えた。

もうひとこと:2011年11月号「The労使紛争交渉人」取材後記
今回の女性ユニオン東京の取材では、企業側の「聞く姿勢」の有無が、その後の労使紛争の成り行きにも少なからず影響を与えている、とも感じた。藤井豊味書記長は、交渉窓口の人事担当者に対して、もし相手が情報不足と感じた場合、情報入手方法などのアドバイスをするという。その反応は企業によって温度差があるものの、少なくとも「聞く」姿勢は労使紛争の解決へ向けた第一歩ではないかと、今回の取材で強く感じた。

もうひとこと:2011年10月号「採用試験問題例」取材後記
「部下の本音を聞く」「現場の不満に耳を傾ける」など、近年、人事担当者に求められているスキルの一つに、「ヒアリング力」がある。今回のキャリアマートの採用試験では「他己(たこ)紹介」での学生のヒアリング力、情報整理力、プレゼン力などを問う内容であったが、特にヒアリング力は、個人差が大きく、なかには言葉が出ずに固まってしまう学生もいるという。試験の当事者は学生だが、人事担当者にとっても大きな気づきがありそうな選考スタイルであるようにも思えた。

もうひとこと:2011年9月号「ロングインタビュー」取材後記
東日本大震災の被災地支援について。「(ビッグイシューの販売員が)ホームレスだから辛さが分かる。戦力にもなる。ホームレスであっても被災地支援をやっているというメッセージをできるだけナチュラルな形で世間にも送り続けたい。5年、場合によっては10年スケールの覚悟を持ってやり続けたいですね」(佐野章二氏)。今年の12月で70歳を迎える佐野氏だが、やるべき仕事は山積。まだまだ趣味の音楽鑑賞にゆっくりと浸れる時間はなさそうである。

もうひとこと:2011年9月号「The労使紛争交渉人」取材後記
企業との団体交渉について。「(在職中よりも)解雇になってから相談に来られる労働者がとても多い。それは、職場自体がものを言えない風土になっているからだと思います。職場でのさまざまな不満の受け皿がないため、それがうつなどの健康被害にもつながってしまう。職場のさまざまな不満は日常的な組合交渉の中で解決したほうが、そうした複雑な団交などにはならないし、企業にとっても都合の良いことが多いと思うんですけどね」(河添誠氏)。労働組合を社内に作ることにネガティブな考えの人事労務関係者には、今回の首都圏青年ユニオン書記長の河添氏の記事はどう映ったのか? 筆者として、その感想を聞いてみたいものだ。

もうひとこと:2011年8月号「採用試験問題例」取材後記
今回の採用試験問題は「会社説明会」からという異例の出題となった。会社説明会といえば、企業にとっては応募者の動機づけや母集団形成という位置付けが多いのかもしれない。しかし、就職難にもかかわらず、相変わらず新卒入社組の早期退職は、多くの企業にとって頭の痛い課題。学生にとっての新卒入社は「就社」か?それとも「就職」か?少なくとも後者を志向する学生に関心があるという人事担当者なら、今回の旭化成アミダスの会社説明会は、とても参考になる事例だと思う。

もうひとこと:2011年7月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
「この人と1時間」という副題の付いたロングインタビューだが、取材開始から休憩を挟まずに2時間も一気に話し続けた海津社長の集中力、そして事業への思いは凄いと感じた。メディア側はどうしても「障がい者の雇用」に焦点を当ててしまうが、「長所を生かす経営」にしろ、「自発的な意思決定力」にしろ、スワンならずとも民間企業においては重要なテーマ。取材をしながら、「障がい者の雇用」という枠組みでの自分の先入観がとても時代遅れに思えた。

もうひとこと:2011年7月号「The労使紛争交渉人」取材後記
今回の取材では、東京・市ヶ谷にあるUIゼンセン同盟を訪問した。労働組合の組合員数が低迷する中にあって、右肩上がりと堅調。産業政策とパートタイマーの組織化がその主な奏功要因であり、今回の取材ポイントでもあった。正社員比率が低下し「組合はもう時代遅れ」と考えている人事担当者なら特に参考になる事例であった、とも思う。

もうひとこと:2011年6月号「採用試験問題例」取材後記
取材後、「採用試験問題」を出題したパフ社が主催する「職サークルシンポジウム」に参加した。参加者の大半は各企業の人事担当者。「これからの新卒採用の話をしよう!」と題したプログラムのメインテーマは、「育てる採用」。「選ぶだけの採用」と「育てる採用」の違いとは何か?今回のパフ社の採用試験問題にも通じる内容でもあった。それらは同社自らが自社採用で体現してきた「成果」の数々であり、それだけに「採用のプロ」としての説得力を感じた。

もうひとこと:2011年5月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
イメージ通りの人だった――それが佐々木常夫氏への取材での率直な感想である。大震災の後だけに、30万部を超えるベストセラーとなった氏の著書『働く君に贈る25の言葉』の第5章の一節、「運命を引き受けなさい。それが、生きるということです」の言葉が、まるで現在の日本人が背負った十字架のように心に染みてくる。妻の自殺未遂、長男の自閉症などの家族環境を抱えながら、破綻会社の再建や数々の大事業を成功に導いた佐々木常夫氏。インタビューには収録されていない佐々木氏の言葉の中から、今だからこそぜひ、以下の「もうひとこと」をここで付け加えておきたい。
「私は家庭の問題で大変だったとき、周りの人たちはみんな、『大変だったでしょう』と言ってくれる。でも、私はそれほど大変ではなかった。そういう生活に慣れるからです。そうしないと、人間は生きていけない。必ずそのシチュエーションの中で希望を持ち、幸せを見つけられるものです」。

もうひとこと:2011年5月号「The労使紛争交渉人」取材後記
毎日のように団交や争議に走り回る東京管理職ユニオンの鈴木剛書記長。本取材の中では外資系企業におけるロックアウト解雇の事例が特に印象に残っている。鈴木氏によると、外資系企業でしか勤務経験のない人事担当者の場合、日本のユニオンの存在に対して「非常に不理解、あるいは不勉強に感じることが多い」ようだ。記事中では触れていないが、その理由について、鈴木氏は次のように分析している。
「そもそも労働者が個人で加入し、企業に対してわれわれと一緒に団体交渉に臨める法制度は日本固有のものなのです。ゆえに外資系の本国の経営者から見れば、なかなかわれわれのようなユニオンの活動を理解できない面もあるのかもしれません。そのせいなのかは分かりませんが、外資系企業は特に、われわれとの交渉を嫌がる傾向はありますね」。
外資系人事関係者には特に、今回の取材記事は参考になる内容ではないか、と思う。

もうひとこと:2011年4月号「採用試験問題例」取材後記
一つの企業内に14もの国籍の人たちが働いているダイバーシティな職場。ロバート・ウォルターズ・ジャパンのスワン社長は「いろいろな社員がいるぶん、いろいろな意見が出る」と語った。日系企業に多い学歴および職歴偏重の採用試験で「いい人材が採れない」と悩む採用担当者にはぜひ、一読を勧めたい今回の試験内容であった。

もうひとこと:2011年3月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
小池龍之介氏が住職を務める月読寺は、工務店の事務所兼倉庫だった建物。見た目はいわゆる「お寺」風ではない。世田谷区の住宅街に自然に溶け込んだ風情の質素なたたずまい。質素なのは「お寺」の中も同じである。書斎部屋には古い机がポツンとあるだけ。書籍や雑誌、趣味の古物で足の踏み場もない記者の部屋とは対照的な空間。取材前、小池氏の『貧乏入門』『煩悩フリーの働き方。』などの著書を読んでいたこともあり、なるほど、と感じた次第。部屋にモノをため込まない気持ち良さ。それは自宅に限らず、オフィスでも同様なのだろうな、とも思った。ストレスの軽減法は意外に身近なところにある。そんな気付きも得られたような気がした今回の取材であった。

もうひとこと:2011年3月号「The労使紛争交渉人」取材後記
今回の派遣ユニオンの取材は、普段、人材派遣や人材紹介などの分野でも取材活動をしている記者にとって、とても意義深いものであった。快く取材を受けてくれた関根秀一郎氏にはこの場を借りて深謝。関根氏は現行の派遣制度における「廃止論者」の一人ではあるが、決してガチガチの学者肌とは異なる印象を受けた。関根氏の人柄の良さもあるが、肌感覚での当事者意識、そして何よりも「まずはとことん話し合おう」という受容の姿勢には、とても好感を持った。記者は人材派遣という制度の課題、問題点は排除しないものの、その有益性(もちろん求職者にとっても)にも着目している一人。関根氏とはやや派遣に対するスタンスは異なるが、スタンスが違えども、じっくりと意見交換が出来そうな雰囲気を、氏との応答からは感じた。関根氏が関わった団体交渉のほとんどが話し合いで解決している理由も、そこにあるのかもしれない。

もうひとこと:2011年2月号「採用試験問題・解答例」取材後記
就活がなかなか決まらない―そんな学生のイメージからは過酷、疲弊、可哀想などのネガティブな言葉ばかりを思い浮かべてしまうが、もし就活で活力が湧いてくるような採用試験があるとしたら? 今回の日本データビジョンの採用試験は、学生にとってポジティブな就活とは何か?という側面からも、気付かされる面が多々あったように思う。取材する側としても、「採用のプロ」らしさがビシビシと伝わる取材対象に出会えたとき、不思議と満足感というか、充実した気分が味わえる。一期一会。たった1回のある面接官の一言が、その学生の人生を変えることもある。フィードバックの重みを強く感じた取材であった。

もうひとこと:2011年1月号「ロングインタビュー」取材後記
とても心地よさを感じた。そんな1時間のインタビューであった。「語りの名手」という言葉が正しいのかどうかは分からない。でも、田坂広志氏の口から語られる一つひとつの言葉は、不思議と聞く者の心に響き、残る。職場における「働き甲斐」がテーマのインタビューであったが、記事の内容はもちろんのこと、インタビューの文章を通じて、優しく言葉を紡ぐ田坂氏の「語り」の臨場感をどれだけ表現できただろうか?一人でも多くの読者諸兄に、目からウロコの気付き、そして心地よさが伝われば・・・それが記者の「働き甲斐」にはなるのだけど、果たして?

もうひとこと:2011年1月号「The労使紛争交渉人」取材後記
数あるアポイント先の中で、真っ先に取材の意義に理解を示してくれたのが、今回取材のNPO法人労働相談センターの須田光照氏である。その「何でも聞いてください」というオープンな姿勢からは、「開かれた労働Gメン」の清々しさ、開放感を感じた。ユニオン、労組というと、「攻めるは得意だけど。守るのは弱い」という、どこか「自己開示」に腰が引けた印象もあった(実際、他の取材アポの労働Gメンではそうしたところもあった)が、今回の須田氏の取材では、そうした「閉鎖的な」労働Gメンの負のイメージをかなり払拭してくれたように思う。

もうひとこと:2010年12月号「採用試験問題・解答例」取材後記
人事部が関わらない採用試験って、ありなの? 今回のクイックの「もう一つの試験問題」は、それである。採用=人事の役割という、一般的な人事のあり方、存在意義というものに対する疑問、問いかけ。採用の「当事者」である人事担当者にはぜひ、そうした自問自答の行間も感じてもらいたい、そんな「採用試験問題」であった。

もうひとこと:2010年11月号「ロングインタビュー」取材後記
今回、登場していただいた見ル野栄司さんのベストセラー漫画『シブすぎ技術に男泣き!』のセリフ部分は、すべて見ル野さんの「手書き」である。一般的な写植の活字にはない手書きゆえの表現力があり、味わい深い。「そうした狙いもあったのか?」と見ル野さんに問うと、「いや、写植を入れてもらうのは申しわけない気がして……手間もかかるし」。そんなちょっとした裏話にも「男泣き」の要素を感じさせてくれるのが、見ル野漫画の魅力の一つ。効率性追求で見失った日本人の「何か」を、『シブすぎ技術に男泣き!』、そして本インタビューから感じてもらえれば幸いである。

もうひとこと:2010年10月号「採用試験問題・解答例」取材後記
今回取材したイーストウエストコンサルティングにとっての採用試験は、毎年の恒例行事であることは記事でも触れたが、それ以外にも同社ならではの「恒例行事」は数多い。例えば月1回の「飲みニケーション」もそのひとつ。新入社員にとっては会社内でのコミュニケーションを深める動機付けにもなるし、ネットワークや人脈力が仕事にも大きく影響するヘッドハンティングという職種柄、頼れる先輩社員とのパイプ作りにも役立っている。一般に「恒例行事」というと、企業の業績や好不況の影響を受けやすいものだ。しかし、「継続性」があってこその恒例行事である。テーマは採用試験問題であるが、好不況に翻弄され、企業で失われつつある「恒例行事」という言葉の重みを改めて実感させられた取材でもあった。

もうひとこと:2010年9月号「ロングインタビュー」取材後記
「今はビジネス戦争の時代。会社の中には最高の知識が集約されている。それを社会に還元しないのはもったいない」。そんな志を抱いた常見陽平氏の「サラリーマン作家」としてのデビューは、玩具メーカーの人事マン時代。以来、あえてサラリーマンの立場に身を置くことに、こだわり続けている。「人事マン後」のキャリアパスとしては、一般に社労士などのスペシャリスト、あるいは経営者としての「独立の道」を選択する人も多いが、在職中でも、いや在職中だからこそできる「キャリアパス」というものもあるのだなと、常見への取材で強く感じた。一読後、現職の人事マン諸氏がもし、そこから将来のモデルケース、あるいは何らかの発奮材料を見出してもらえたら、おそらく常見氏本人も本望ではなかろうか。

もうひとこと:2010年8月号「採用試験問題例」取材後記
新卒の採用試験は、学生にとっての「動機形成の場」でもある。今回のリクルートエージェントの取材では、そのことを改めて再確認させられた。同社の2011年度の新卒採用では、いろんなセクションの上長が面接に参加。そうした選考過程の中で「こうした社風の会社で働いてみたい」などの新たな入社動機が生まれる。上から目線での採用試験の風土からは生まれない「ウインウイン」の採用試験。効果測定的な視点でいえば、「入社辞退者が少なくなった」という同社データもある。最終面接が終わった時点でしっかりと「入社動機が固まっている」。それも「優れた選考」の一例であり、同社の採用試験はそれを見事に体現している。そう感じた。

もうひとこと:2010年7月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
何か新しいことをやろうとすると、必ずと言っていいほど問われるのが「費用対効果」、さらには「効率化」というもの。今回のカヤックの取材は、おそらく大勢を占めているであろうそうした企業の価値観とは異なる、「目に見えない価値」と企業との関係という視点からも興味深かったし、「今の時代の特徴」が少し見えたような気がした。時代の古都・鎌倉を拠点とするカヤックだけでなく、千葉・幕張を拠点にしているスタートトゥディにしても、そうした「目に見えない価値」を武器にして快進撃を続けているような気がしてならないと感じた。

もうひとこと:2010年6月号「採用試験問題・解答例」取材後記
心理学やカウンセリングの世界でよく使われる「ジョハリの窓」。対人関係の中の自己を理解する手掛かりとして知られる理論だ。リンクアンドモチベーションの採用試験問題では、自らの人生のモチベーション曲線を作成することで自分の自己開示をし、同時に自分が気づかない領域を他人から伝えてもらう(フィードバック)。それは「ジョハリの窓」の理論にも通じるものではないか、と思った。単なる取捨選択の選考ではなく、相互理解を深めることによって、会社側は学生との相性を見極めようと試み、同時に学生はそのプロセスからそれまで気づかなかった、あるいは未知の領域であった「気づき」を得る。「採用学」というものがあるとすれば、その片鱗に触れられた? そんな今回の取材であった。

もうひとこと:2010年5月号「ロングインタビュー」取材後記
「えっ、8ページもあるの!」。メモの合間に頻繁にカメラを構える記者の気持ちを察してだろう、取材中、桜井章一氏はそれとなくシャッターチャンスの場面をつくってくれた。文中の一枚一枚の写真にはそんな雀鬼の一面も隠されている。「カメラマン」として、ファインダーの向こうに見えた桜井氏の「優しさ」に触れたインタビューでもあった。

もうひとこと:2010年4月号「採用試験問題・解答例」取材後記
読者諸兄にはぜひ、ザ・ロングインタビューの記事と併読してもらえれば幸いである。こちらではいわば受け身の就活ではなく、能動的な就活による「気づき」がもう一つのテーマになっているからだ。新卒採用の選考フローでは会社側の理解を深めてもらうための多くの情報が学生側にアウトプットされる。しかし、ネオキャリアでは3次選考スタート以降は、必要以上のアウトプットは一切しない。自分から情報を欲して取りに来ない限り、価値ある情報にはたどり着けないという考えによるものだ。自らが動かなければ何も始まらない。内定者研修的な要素も兼ね備えた採用試験問題――そんな視点からも再読してもらえたらと思う。

もうひとこと:2010年4月号「ザ・ロングインタビュー」取材後記
同じバブル華やかなりし頃に社会人になった者の一人として、園田さんのエピソードや言葉の一つひとつが、共感とともに今も耳に残っている。その一つが「教育という言葉はあまり好きではない。私たちは学習という言葉を使う」というもの。教育ではなく学習。誰もが大人になり、いつしか「学習」は過去の子供時分のもの――そう思い込んではいないだろうか。「気づき」は、受け身の教育からではなく、能動的な学習姿勢から得られるものなのかもしれない。かなり昔に置き去りにしていた「学習」という言葉の深みを、この歳になって改めて再認識させられた1時間でもあった。

もうひとこと:2010年2月号「採用試験問題・解答例」取材後記
学生にしてみれば、予期せぬ「商談」面接の実施。しかもその準備時間はわずか3分。当然ながら、学生によっては極度の緊張感に襲われる人もいるという。小林マネージャーは、「普段の自分の力を発揮してもらうためにも、準備時間の3分間の使い方も大切である」と語っていたのが、とても印象に残った。同社では「一方が選び、もう一方が選ばれる」という関係ではなく、双方が「選び・選ばれる」関係であることをしっかりと事前に伝え、極力、リラックスした状態で「商談」に臨める環境作りを意識している。同マネージャーは「まだまだ課題は残る」と語るが、逸材を見極めるための採用試験とは、実は「試験中」だけでなく、「試験前」から始まっているのだな、と改めて痛感させられた次第。

もうひとこと:2010年1月号「ロングインタビュー」取材後記
取材翌日(土曜日)の早朝、自宅の電話が鳴った。時間は8時30分。こんな時間に自宅の電話が鳴ることは普段、まずない。あるとすれば緊急時。「もしや、身内に何かが!」。寝ぼけ眼をこすり、慌てて電話に出ると、「高齢社の上田です。昨日はありがとうございました・・・」。取材前日にこちらからFAXした質問案を読み直し、「すべての質問に答えられなかったのでは・・・」と心配し、わざわざ電話をしてくれたのだという。なんて深い気遣いのある人なのだろう。逆風にある派遣業界にあって、約360人もの登録社員の70%の稼働率を維持し、登録社員の高い満足度の一番の理由が「社長の人柄・考え方」であることに、あらためて納得させられた一本の電話であった。

もうひとこと:2009年12月号「逸材を見抜く採用試験問題例」取材後記
不採用になった会社に対して、好感を抱く学生はいない――通常そう思われがちな採用試験。アチーブメント社の採用試験でとても共感したのは、選考後の「敵を作らない、別れ方」。会社側が学生との対等な関係作りを常に意識し、学生を応援するというスタンスが、選考フローから強く感じられた。それは中途採用でも同じはず。入社試験に挑む人は、その会社のファンであるか、少なくともその会社に興味があるからだろう。不採用でも、変わらずにファンでいてもらう。そんな採用試験のお手本のような事例だったと思う。

もうひとこと:2009年10月号「逸材を見抜く採用試験問題例」取材後記
「よっしゃ、気に入った!」そんな鶴の一声で採用が決まる映画「社長シリーズ」のような面接試験も、個人的には嫌いではない。しかし、その対極にあるような「自分と合わないと思うタイプの人を(という尺度で)落とさない」というワイキューブの採用スタンスも、個性の尊重、人材のダイバーシティを受け入れるだけの企業の器という観点からも、とても興味深かった。「平均的な似たようなタイプの社員ばかりが集まる」と悩む企業にとって、採用のヒントが充満したケーススタディになれば、との思いで記事にまとめました。次回は12月号。アチーブメント社の採用試験レポートに、乞うご期待!